麻酔イヌを用いた冠動脈部分狭窄およびペーシングによる心筋虚血モデルの作成
【目的】狭心症には労作性や冠攣縮性等のタイプがあるが, 基本的には心筋 O_2 需要と O_2 供給のアンバランスによって惹起する疾患であると考えられる. 今回, 我々は冠動脈部分狭窄による O_2 供給低下とペーシングによる O_2 需要増加によって, 労作性心筋虚血モデルの作成を試み, 代表的な抗狭心症薬である propranolol(Pro)の効果を検討した. 【方法】雑種成犬(体重 10~16kg)およびビーグル犬(体重 9~13kg)をペントバルビタール麻酔下に, 陽圧人工呼吸を施した. 血圧測定用カテーテルを大腿動脈を介して腹部大動脈に, 左室内圧(LVP)および dP/dt測定用...
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Veröffentlicht in: | 日本薬理学雑誌 1994, Vol.103 (2), p.123-123 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【目的】狭心症には労作性や冠攣縮性等のタイプがあるが, 基本的には心筋 O_2 需要と O_2 供給のアンバランスによって惹起する疾患であると考えられる. 今回, 我々は冠動脈部分狭窄による O_2 供給低下とペーシングによる O_2 需要増加によって, 労作性心筋虚血モデルの作成を試み, 代表的な抗狭心症薬である propranolol(Pro)の効果を検討した. 【方法】雑種成犬(体重 10~16kg)およびビーグル犬(体重 9~13kg)をペントバルビタール麻酔下に, 陽圧人工呼吸を施した. 血圧測定用カテーテルを大腿動脈を介して腹部大動脈に, 左室内圧(LVP)および dP/dt測定用のカテーテルを左総頚動脈を介して左室内に留置した. 左第5肋間にて開胸し, 心膜cradle を作成した後, 左冠動脈回旋枝(LCX)に狭窄用の occluder および冠血流量(COBF)測定用のパルスドップラー血流計プローブを装着した. また, LCX灌流領域に心筋内層心電図(Endo.ECG)測定用の針電極および局所心筋短縮率(%SS)測定用の超音波ドップラープローブを装着した. 体表面心電図は第二誘導にて測定し, そのR波より心拍数(HR)を測定した. 心筋虚血はCOBFを約35~40%程度減少させた後, baseline HRより70~80bpm高いrateで5分間ペーシングを行ない, Endo. ECGのST-segment(ΔST)の上昇(9mV以上)を指標とした. なお, Proはペーシング開始10分前に30秒間で静脈内投与した. 【結果および考察】1)冠動脈部分狭窄およびペーシングの影響:ペーシングのみを行なった場合, dp/dt max, pressure-rate product(PRP)およびCOBFは有意に増加したが, ΔSTには有意な変化はみられなかった. 部分狭窄およびペーシングを行なった場合, dp/dt maxおよびPRPは増加したが, COBFは増加せず, ΔSTは著明に上昇した. また, %SSは低下した. なお, 第二誘導心電図のST-segmentは下降した. 2)Proの作用:冠動脈部分狭窄およびペーシングモデルにおいて, Pro(0.1mg/kg,i.v.)は dp/dt maxを抑制し, 著明にΔSTの上昇を抑制した. PRPに対しては低下傾向を, COBFに対しては増加傾向を, かつ%SSに対しては改善傾向を示したが, 有意差はなかった. 以上, Proは本モデルにおいてdp/dtを減少させることにより心筋虚血を改善し, かつ本モデルは労作性狭心症モデルの一つと考えられた. |
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ISSN: | 0015-5691 |