胎児型および成体型ニコチン性アセチルコリン受容体に対するベクロニウムおよびリドカインの抑制作用
骨格筋のニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)には, サブユニット構成α_2 βγδの胎児型とα_2 βεδの成体型が存在し, 除神経筋では胎児型 nAChR が新生することが知られている. そこで, 我々はアフリカツメガエル卵母細胞にウシ nAChR の cDNA より合成した胎児型と成体型の mRNA を注入して発現させ, 2電極膜電位固定法を用いて, アセチルコリン(ACh)で誘発される電流の胎児型と成体型における差異及び, 競合性阻害薬であるベクロニウム(Vec)と非競合性阻害薬であるリドカイン(Lid)の抑制作用の差を検討した. ACh(1-200μM)単独で誘発される電流の減...
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Veröffentlicht in: | 日本薬理学雑誌 1994, Vol.103 (2), p.120-120 |
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Hauptverfasser: | , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 骨格筋のニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)には, サブユニット構成α_2 βγδの胎児型とα_2 βεδの成体型が存在し, 除神経筋では胎児型 nAChR が新生することが知られている. そこで, 我々はアフリカツメガエル卵母細胞にウシ nAChR の cDNA より合成した胎児型と成体型の mRNA を注入して発現させ, 2電極膜電位固定法を用いて, アセチルコリン(ACh)で誘発される電流の胎児型と成体型における差異及び, 競合性阻害薬であるベクロニウム(Vec)と非競合性阻害薬であるリドカイン(Lid)の抑制作用の差を検討した. ACh(1-200μM)単独で誘発される電流の減衰時定数は胎児型(131sec)では成体型(47.9sec)に比べ有意に大きい値を示したが, ACh濃度とピーク電流値の関係には有意の差は認められなかった. ACh の反復投与による電流の減弱が成体型で観察されたが胎児型ではほとんど見られなかった. Vec(10nM-1μM)の ACh(100μM)電流に対する抑制効果は胎児型 nAChR よりも成体型 nAChR が有意に大きかった. 膜電位-60mV における ACh誘発電流に対する Lid の抑制効果, および抑制の電位依存性(-120mV-+30mV)には胎児型と成体型に差を認めなかった. 以上の結果より, Vec が成体型において脱感作状態に作用していることが示唆され, このことが胎児型に比べて成体型が Vec の抑制を受けにくい原因の一つと考えられる. |
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ISSN: | 0015-5691 |