アンチセンスオリゴヌクレオチド導入による cAMPシグナルカスケードの細胞内操作
アンチセンスオリゴヌクレオチドは生命科学領域の研究に広く利用されているばかりでなく, 将来の医薬品や遺伝子治療への利用にも期待が持たれている. 肝細胞や乳腺上皮細胞では cAMP が細胞増殖の制御に大きな役割を果たしていると考えられているが, その細胞内分子機構は不明な点が多い. そこでアンチセンスオリゴ法を用いることにより Aキナーゼの蛋白合成を抑制し, 細胞増殖に及ぼす影響を検討した. Aキナーゼ触媒サブユニットのオリゴアンチセンスを添加した培地で, ラット肝由来の RL-34細胞を培養し, その抽出液を Aキナーゼ触媒サブユニット抗体でウエスタンブロットした. アンチセンスにより Aキナ...
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Veröffentlicht in: | 日本薬理学雑誌 1994, Vol.103 (2), p.108-108 |
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Hauptverfasser: | , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | アンチセンスオリゴヌクレオチドは生命科学領域の研究に広く利用されているばかりでなく, 将来の医薬品や遺伝子治療への利用にも期待が持たれている. 肝細胞や乳腺上皮細胞では cAMP が細胞増殖の制御に大きな役割を果たしていると考えられているが, その細胞内分子機構は不明な点が多い. そこでアンチセンスオリゴ法を用いることにより Aキナーゼの蛋白合成を抑制し, 細胞増殖に及ぼす影響を検討した. Aキナーゼ触媒サブユニットのオリゴアンチセンスを添加した培地で, ラット肝由来の RL-34細胞を培養し, その抽出液を Aキナーゼ触媒サブユニット抗体でウエスタンブロットした. アンチセンスにより Aキナーゼ合成は抑制されたが, 細胞数はコントロールと変わらなかった. またフォルスコリンによっても細胞増殖は促進されなかった. 一方, Aキナーゼの特異的阻害剤である H-89 により細胞増殖が抑制されるという相反する結果が得られた. 今後は細胞増殖が cAMP依存性と確認されたラット甲状腺 FRTL細胞など用いて cAMP→Aキナーゼ→CREB という細胞内シグナルカスケードの役割を明らかにしていく. |
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ISSN: | 0015-5691 |