Phorbol 12, 13-dibutyrate による Ca2+ 非依存性の血管平滑筋収縮機構

C-kinase activator である phorbol 12, 13-dibutyrate(PDB)は, 細胞外 Ca^2+ 非存在下で, 細胞内 Ca^2+ 濃度を上昇させることなく血管平滑筋に持続的な収縮を惹起することが知られている. 今回その収縮機構を解析するため次のような検討を加えた. 【方法】Wistar rat の胸部大動脈よりラセン状血管条片を作成し, 95% O_2 と 5% CO_2 を通気させた Ca^2+ -free Krebs Henseleit溶液中で PDB により収縮させ, myosin light chain(MLC)の燐酸化(^^32 P による aut...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1994, Vol.103 (2), p.100-100
Hauptverfasser: 伊藤宏雄, 下村敦, 大久保節也, 市川和人, 伊藤正明, 小西得司, 中野赳
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:C-kinase activator である phorbol 12, 13-dibutyrate(PDB)は, 細胞外 Ca^2+ 非存在下で, 細胞内 Ca^2+ 濃度を上昇させることなく血管平滑筋に持続的な収縮を惹起することが知られている. 今回その収縮機構を解析するため次のような検討を加えた. 【方法】Wistar rat の胸部大動脈よりラセン状血管条片を作成し, 95% O_2 と 5% CO_2 を通気させた Ca^2+ -free Krebs Henseleit溶液中で PDB により収縮させ, myosin light chain(MLC)の燐酸化(^^32 P による autoradiogram)と MLC-phosphatase活性を測定した. 【結果と考察】PDB により血管条片の MLC は control の約3倍の燐酸化がみられ, その peptide mapping より燐酸化部位は主に MLC-kinase による部位と一致し, C-kinase によると思われる燐酸化はごく少量であった. この MLC の燐酸化は NKH477 により弛緩とともに脱燐酸化された. 一方血管条片の MLC-phosphatase活性は PDB による収縮反応で有意に低下し, NKH477 による弛緩反応で回復した. 以上より PDB による Ca^2+ 非依存性血管収縮反応にも MLC の燐酸化が重要であり, その燐酸化機構としては MLC-phosphatase活性低下による相対的な MLC-kinase の活性化が考えられた.
ISSN:0015-5691