特異的カルモデュリン依存性燐酸化酵素阻害剤のインスリン分泌に対する影響について

[目的]細胞内へのCa^2+ の流入は, グルコースにおける膵B細胞からのインスリン分泌において中心的役割を果たすが, 細胞内Ca^2+ 上昇のメカニズムは, 部分的にしか解明されていない. カルシウム結合蛋白質であるカルモデュリンが分泌に関与していることが報告されている. 上昇した細胞内Ca2+に結合したカルモデュリンは種々の蛋白燐酸化酵素を活性化することが知られているが, 個々のCa/CaM依存性燐酸化酵素の役割は検討されていない. 今回我々は, Ca/CaM依存性燐酸化酵素IIのインスリン分泌における役割について選択的酵素阻害剤を用いて検討した. [方法]正常ラットより単離された膵島を,...

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Hauptverfasser: 岡崎勝男, 日高弘義, 仁木一郎
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:[目的]細胞内へのCa^2+ の流入は, グルコースにおける膵B細胞からのインスリン分泌において中心的役割を果たすが, 細胞内Ca^2+ 上昇のメカニズムは, 部分的にしか解明されていない. カルシウム結合蛋白質であるカルモデュリンが分泌に関与していることが報告されている. 上昇した細胞内Ca2+に結合したカルモデュリンは種々の蛋白燐酸化酵素を活性化することが知られているが, 個々のCa/CaM依存性燐酸化酵素の役割は検討されていない. 今回我々は, Ca/CaM依存性燐酸化酵素IIのインスリン分泌における役割について選択的酵素阻害剤を用いて検討した. [方法]正常ラットより単離された膵島を, Ca/CaM依存性燐酸化酵素IIの特異的阻害剤であるKN-62及びKN-93の存在下に, 種々の分泌刺激を行い, そのインスリン分泌量を測定した. [結果]KN-62及びKN-93はμMオーダーで, 10mMグルコースまたは20mM K^+ により惹起されたインスリン分泌を有意に阻害した. Cキナーゼの活性化剤であるTPA(162nM)でインスリン分泌を刺激した場合には, これらの阻害剤は影響を与えなかった. 一方, adenylate cyclase活性化剤フォルスコリン(5μM)で10mMグルコースによるインスリン分泌を増幅した場合には, KN-62及びKN-93はインスリン分泌を阻害した. [結論]これらの結果より, Ca/CaM依存性燐酸化酵素IIが細胞内Ca^2+ の上昇によるインスリン分泌を調節している可能性が示唆された.
ISSN:0015-5691