エンドセリン変換活性を有する金属プロテアーゼの性質について

【目的】エンドセリン(ET)変換活性を有する2種の金属プロテアーゼがラットの腎臓に存在することを認め, それらの酵素学的諸性質を肺に存在するエンドセリン変換酵素(ECE)と比較検討したので報告する. 【方法】SD系雄性ラットの肺及び腎臓を各種酵素阻害剤含有の緩衝液を用いてホモジナイズした後, 遠心操作により膜分画を調製した. 得られたそれぞれの膜分画は1% n-octyl-β-D-thioglucosideで可溶化し, 以後の実験に供した. ECE活性は, 合成ブタbig ET-1を基質として用い, 生成したET-1を酵素免疫法により測定した. 【結果・考察】腎臓の膜可溶化分画について, ゲル...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1993, Vol.102 (4), p.95-95
Hauptverfasser: 藤野勝宏, 高岡昌徳, 松倉千賀子, 石合徹也, 松村靖夫, 森本史郎
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:【目的】エンドセリン(ET)変換活性を有する2種の金属プロテアーゼがラットの腎臓に存在することを認め, それらの酵素学的諸性質を肺に存在するエンドセリン変換酵素(ECE)と比較検討したので報告する. 【方法】SD系雄性ラットの肺及び腎臓を各種酵素阻害剤含有の緩衝液を用いてホモジナイズした後, 遠心操作により膜分画を調製した. 得られたそれぞれの膜分画は1% n-octyl-β-D-thioglucosideで可溶化し, 以後の実験に供した. ECE活性は, 合成ブタbig ET-1を基質として用い, 生成したET-1を酵素免疫法により測定した. 【結果・考察】腎臓の膜可溶化分画について, ゲル濾過を行ったところ, 分子量約450kDa及び約150kDaに相当する位置にECE活性が検出された. 高分子量分画のECE活性はEDTA, アクチノニンにより阻害されたが, ホスホラミドンにより影響されなかった. 低分子量分画のECE活性はEDTAだけでなく, ホスホラミドン, ケラトルファン及びアクチノニンによっても阻害された. 一方, 肺膜分画には, 分子量約450 kDaのECEのみが検出され, ホスホラミドン感受性の金属プロテア一ゼであることを認めた. 以上の結果より, ラットの腎臓には, ECE活性を有する2種の金属プロテア一ゼの存在することが判明し, 肺に存在するECEとは性質の異なる金属プロテアーゼであることか示唆された.
ISSN:0015-5691