KyotorphinのNOを介する血管弛緩作用機序
私達は抗侵害受容性ペプチドkyotorphin(L-Tyr-L-Arg; KTP)がラット胸部大動脈を弛緩させることを報告した(第66回日本薬理学会年会). この弛緩は実験開始直後では認められないが, 時間の経過とともに発現し, かつ増大してゆき, 実験開始後約6時間で一定になった. さらにKTPの弛緩作用は内皮に依存せず, NO~cyclic GMP系を介していることも明らかにした. そこで今回KTPがどのような機序で内皮非依存性のNOを産生し, 弛緩を引き起こすのか検討した. 1.蛋白合成阻害薬であるactinomycin Dやcycloheximideまたはgulucocorticoid...
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Format: | Tagungsbericht |
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Zusammenfassung: | 私達は抗侵害受容性ペプチドkyotorphin(L-Tyr-L-Arg; KTP)がラット胸部大動脈を弛緩させることを報告した(第66回日本薬理学会年会). この弛緩は実験開始直後では認められないが, 時間の経過とともに発現し, かつ増大してゆき, 実験開始後約6時間で一定になった. さらにKTPの弛緩作用は内皮に依存せず, NO~cyclic GMP系を介していることも明らかにした. そこで今回KTPがどのような機序で内皮非依存性のNOを産生し, 弛緩を引き起こすのか検討した. 1.蛋白合成阻害薬であるactinomycin Dやcycloheximideまたはgulucocorticoidsを標本摘出直後から共存させておくと, 実験開始後6時間経過してもKTPによる弛緩は認められなかった. またactinomycin Dで処置した標本では, KTPによるcyclic GMP産生の増大も抑制された. 2. 栄養液中のendotoxinをできる限り除去した条件下では, 実験開始から6時間経過してもKTPによる弛緩は発現しなかった. しかし栄養液にendotoxin 1μg/mlを混入させておくと, KTPによる弛緩が発現し, 経時的に増大した. 3. Endotoxin阻害薬であるpolymixin B(100μg/ml)を標本摘出直後から共存させておくと, 実験開始後6時間経過してもKTPによる弛緩は発現しなかった. 4. Calmodulin阻害薬であるcalmidazoliumで処置すると, この条件下では対照として用いたAChの弛緩は抑制されたが, KTPによる弛緩は全く影響を受けなかった. 以上, KTPはNOを介して血管を弛緩させるが, このNO産生を司る酵素はcalmodulin非依存性であり, endotoxinによって誘導されるinducible typeのNO synthaseであると考えられる. なお, このNOの前駆物質はKTPを構成するL-arginineであると推測している. |
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ISSN: | 0015-5691 |