血管内皮に対するCa++ -ATPase阻害剤の作用
骨格筋や血管平滑筋の小胞体Ca^++ -ATPase阻害作用を有するcyclopiazonic acid(CPA)は, 血管において内皮依存的に弛緩反応を引き起こすこと, またこの弛緩反応にはNOが介在していることを私達は既に報告した(第66回日本薬理学会年会). そこで今回, このCPAによる内皮依存性の弛緩反応がCa^++ -ATPase阻害作用に起因するかどうか, CPAと同じくCa^++ -ATPase阻害剤として用いられているthapsigargin(TG)の血管に対する作用を比較検討した. 標本はラット胸部大動脈を用いた. 1.内皮の完全な標本においてTGは濃度依存的に弛緩反応を引...
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Zusammenfassung: | 骨格筋や血管平滑筋の小胞体Ca^++ -ATPase阻害作用を有するcyclopiazonic acid(CPA)は, 血管において内皮依存的に弛緩反応を引き起こすこと, またこの弛緩反応にはNOが介在していることを私達は既に報告した(第66回日本薬理学会年会). そこで今回, このCPAによる内皮依存性の弛緩反応がCa^++ -ATPase阻害作用に起因するかどうか, CPAと同じくCa^++ -ATPase阻害剤として用いられているthapsigargin(TG)の血管に対する作用を比較検討した. 標本はラット胸部大動脈を用いた. 1.内皮の完全な標本においてTGは濃度依存的に弛緩反応を引き起こした. 一方, 内皮を除去した標本ではTGによる弛緩は消失した. 2.NO合成阻害薬であるN^G -nitro L-arginineはTGによる弛緩を濃度依存的に抑制した. またsoluble guanylate cyclase阻害薬であるLY83583はTGによる弛緩を抑制した. さらにTGによる弛緩はNOスカベンジャーであるhemoglobinの処置により抑制された. 3. 内皮の完全な標本にTGを適用するとcGMPの産生は増大したが, 内皮を除去した標本ではcGMPの産生量は増加しなかった. 4. TGによるcGMP産生の増大はN^G -nitro L-arginineの処置により顕著に抑制された. またLY83583もcGMP産生の増大をほぼ完全に抑制した. 以上, Ca^++ -ATPase阻害剤であるTGも内皮依存性の弛緩反応を引き起こすことが明らかになった. さらにこの弛緩反応には, 内皮~NO synthase~NO~cGMP系が介在していることが示唆された. またCPAやTGの血管における内皮依存性の弛緩反応にはCa^++ -ATPase阻害作用が関与しているものと考えられる. |
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ISSN: | 0015-5691 |