エンドゼピン(DBI)に関する神経化学的研究(第1報)ニコチンの脳内エンドゼピン(DBI)mRNAに及ぼす影響

脳内benzodiazepine(BDZ)様物質として知られているDBIの, 脳内における生成とその調節機構に及ぼすニコチン(NI)の影響を, マウス大脳皮質ならびに初代培養大脳皮質神経細胞(培養細胞)を用いて, mRNAレベルと受容体結合実験の観点より検討した. PCRによるマウスDBI cDNAのクローニングを行なったところ, 約300bpのDNA断片が増幅された. 本プローブを用いてノーザンブロットハイブリダイゼーションを行なったところ, マウス脳および培養細胞のいずれにおいても, 明らかなDBI mRNAの発現が認められた. NI(10^-9 -10^-7 M)を培養細胞に24時間曝露...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1993, Vol.102 (4), p.87-87
Hauptverfasser: 桂昌司, 大熊誠太郎, 廣内雅明, 陳大志, 陳世虎, 栗山欣弥, 辻村敦
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:脳内benzodiazepine(BDZ)様物質として知られているDBIの, 脳内における生成とその調節機構に及ぼすニコチン(NI)の影響を, マウス大脳皮質ならびに初代培養大脳皮質神経細胞(培養細胞)を用いて, mRNAレベルと受容体結合実験の観点より検討した. PCRによるマウスDBI cDNAのクローニングを行なったところ, 約300bpのDNA断片が増幅された. 本プローブを用いてノーザンブロットハイブリダイゼーションを行なったところ, マウス脳および培養細胞のいずれにおいても, 明らかなDBI mRNAの発現が認められた. NI(10^-9 -10^-7 M)を培養細胞に24時間曝露した場合のDBI mRNAの発現量は, NIの添加濃度に依存して増加した. 一方, 対照として用いたβ-actin mRNAの発現量には何らの変化も認められなかった. NIを投与したマウス脳においても同様に, DBI mRNA発現量の増加傾向が認められた. マウス脳および培養細胞により得られた顆粒画分を用いて各種受容体結合実験に対するNIの影響について検討したところ, [^^3 H]flunitrazepamおよび[^^3 H]muscimol(Mus)結合は, NIの10^-5 M以上の濃度で有意に抑制された. また, NI長期曝露により得られた顆粒画分を用いて同様の検討を行なったところ, [^^3 H]Mus結合に増加傾向が認められた. 以上の成績より, マウス脳ならびに培養細胞のいずれにおいてもDBI mRNAの発現が強く認められ, また, NIは脳内においてDBIの生成を介して, GABA_A /BDZ受容体複合体の機能に影響を及ぼしている可能性が考えられる.
ISSN:0015-5691