エンドセリン-1およびニューロペプチドYの血管収縮特性について

エンドセリン-1(ET-1)やニューロペプチドY(NPY)は, 血管収縮機能の生理的調節に加え, 血管攣縮等の病態にも深く関係する可能性が示唆される. 本研究では, ET-1およびNPYによる摘出イヌ脳動脈の細胞内Ca^2+ 濃度変化[Ca^2+ ]_i と収縮との関係, また, その過程における細胞外Ca^2+ 流入の役割とCa^2+ 拮抗薬の作用を検討した. 雌雄雑種成犬の脳底動脈のリング標本にfura-2を負荷し, [Ca^2+ ]_i と張力を同時に記録した. ET-1によって濃度依存性の[Ca^2+ ]_i と張力の増加が観察された. 高濃度(10^-8 M以上)のET-1では, C...

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Hauptverfasser: 中山貢一, 田中芳夫, 井代洋巳, 石井邦雄
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:エンドセリン-1(ET-1)やニューロペプチドY(NPY)は, 血管収縮機能の生理的調節に加え, 血管攣縮等の病態にも深く関係する可能性が示唆される. 本研究では, ET-1およびNPYによる摘出イヌ脳動脈の細胞内Ca^2+ 濃度変化[Ca^2+ ]_i と収縮との関係, また, その過程における細胞外Ca^2+ 流入の役割とCa^2+ 拮抗薬の作用を検討した. 雌雄雑種成犬の脳底動脈のリング標本にfura-2を負荷し, [Ca^2+ ]_i と張力を同時に記録した. ET-1によって濃度依存性の[Ca^2+ ]_i と張力の増加が観察された. 高濃度(10^-8 M以上)のET-1では, Ca^2+ 利用効率の良い収縮が得られた. 一方, NPYでは, 脱分極性溶液(20nM K^+ )中で[Ca^2+ ]_i と張力が, 共に著明に増強された. また, NPYや高K^+ による[Ca^2+ ]_i と張力の増加をほとんど抑制するジルチアゼム(10^-5 M)処置下では, 高濃度ET-1刺激によるそれらの増加のいずれも著しく抑制され, 収縮系のCa^2+ 感受性亢進機構それ自身が, Ca^2+ 流入に強く依存する可能性が示唆された. 本実験結果は, 摘出イヌ脳動脈でのCa^2+ 感受性亢進を含む収縮機能発現の, L型Ca^2+ チャネルを介するCa^2+ 流入への強い依存性を示すとともに, 本動脈でのCa^2+ 拮抗薬の有効性をよく説明するものであると考えられた.
ISSN:0015-5691