インスリン非依存型糖尿病マウスの骨減少とビタミンD

【目的】インスリン依存型の糖尿病で骨減少が発症することはよく知られている. 一方, 糖尿病の大多数を占めるインスリン非依存型糖尿病の骨減少に関する報告は少なく, その成因も明らかになっていない. そこで我々はインスリン非依存型糖尿病のモデル動物であるdb/dbマウスを用い, その骨減少に対する病態把握を行った. 【方法】雌性db/dbマウス及びそのコントロールである+/+マウスを5,8,12及び16週齢時に屠殺し, 大腿骨及び血液生化学的パラメーターの経時変化を調べた. また1α-(OH)ビタミンD3(1α)の作用をみるため, 1αを8週齢時から4週間1日1回経口投与(0.01,0.1,1 μ...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1993, Vol.102 (4), p.64-64
Hauptverfasser: 竹下暢昭, 武藤誠太郎, 山口勇
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【目的】インスリン依存型の糖尿病で骨減少が発症することはよく知られている. 一方, 糖尿病の大多数を占めるインスリン非依存型糖尿病の骨減少に関する報告は少なく, その成因も明らかになっていない. そこで我々はインスリン非依存型糖尿病のモデル動物であるdb/dbマウスを用い, その骨減少に対する病態把握を行った. 【方法】雌性db/dbマウス及びそのコントロールである+/+マウスを5,8,12及び16週齢時に屠殺し, 大腿骨及び血液生化学的パラメーターの経時変化を調べた. また1α-(OH)ビタミンD3(1α)の作用をみるため, 1αを8週齢時から4週間1日1回経口投与(0.01,0.1,1 μg/kg)した. 骨幹端部における骨密度はSingle Photon Absorptiometry法で測定した. 血清Glucose, Calciumは比色定量法により, PTHはRIA法により測定した. 【結果】db/dbマウスは8週齢以降有意に高血糖を示した. db/dbマウスの大腿骨石灰化重量/乾燥重量(%)は8週齢以降, また大腿骨骨幹端骨密度は12週齢以降で+/+マウスに比較して有意に減少した. db/dbマウスの血清Calciumは8週齢以降で, PTHは12週齢で+/+マウスに比較して有意な高値を認めた. 1αは他の骨減少モデルで有効性を示す1/10の投与量(0.1μg/kg)で大腿骨骨幹端骨密度の減少を改善し, ビタミンD欠乏食モデルの骨減少に対する改善作用とよく一致した. 【考察】db/dbマウスの骨減少は他の骨減少モデルに比べ低用量の1αにより改善され, db/dbマウスではビタミンD不足によるreceptorのup-regulationが生じていると考えられた. したがって, 石灰化重量/乾燥重量(%)の低下はビタミンDの不足に基づく石灰化障害によると思われる. 一方, 高PTHがみられたことから骨吸収の亢進も関与していることが推察された.
ISSN:0015-5691