アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬によるACE誘導の組織特異性とその機序
【目的】高血圧自然発症ラットにアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬を連続投与すると, 血漿及び種々の組織でACEが誘導されるが, 血管ではその誘導が生じないことを前回報告した. 今回, (1)ACE誘導におけるこのような組織特異性がラット以外の動物種でも認められるのか, また, (2)酵素誘導の機序にアンジオテンシン(Ang)IIの産生低下が関与するのかを明らかにするために, イヌにACE阻害薬およびAng II受容体拮抗薬を連続投与し, 血漿および組織ACEレベルへの両薬剤の効果を比較した. 【方法】ビーグル犬にACE阻害薬trandolapril(10mg/kg/day)またはAng...
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Format: | Tagungsbericht |
Sprache: | jpn |
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Zusammenfassung: | 【目的】高血圧自然発症ラットにアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬を連続投与すると, 血漿及び種々の組織でACEが誘導されるが, 血管ではその誘導が生じないことを前回報告した. 今回, (1)ACE誘導におけるこのような組織特異性がラット以外の動物種でも認められるのか, また, (2)酵素誘導の機序にアンジオテンシン(Ang)IIの産生低下が関与するのかを明らかにするために, イヌにACE阻害薬およびAng II受容体拮抗薬を連続投与し, 血漿および組織ACEレベルへの両薬剤の効果を比較した. 【方法】ビーグル犬にACE阻害薬trandolapril(10mg/kg/day)またはAng II受容体拮抗薬E4177(10mg/kg/day)を1ケ月間連日経口投与し, 血漿, 肝, 心臓および大動脈のACE活性を既報の方法で測定した. 更にこれらの標本中に残存する薬物を透析により除去した後のACE全活性を測定し, 酵素誘導の有無を検討した. 【結果】血漿および組織ACE活性は, trandolapril投与群では非投薬対照群と比較して有意に抑制されていたが, E4177投与群では対照群と差がなかった. 透析により標本中に残存する薬物を除去すると, trandolapril投与群では血漿, 肺および心臓のACE全活性は対照群に比べて約50%の上昇を示したが, 大動脈での上昇は認められなかった. 一方, E4177投与群では血漿およびすべての組織においてACE全活性は対照群との間で差がなかった. 【結論】(1)血管においてACE阻害薬によるACEの誘導が生じないのは種をこえて普遍的にみられる現象と考えられる. (2)AngII拮抗薬がACEレベルに影響しなかったことから, ACE阻害薬よるACE誘導が同薬によるAngII生成低下の結果であるとは考え難い. |
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ISSN: | 0015-5691 |