平滑筋由来NO産生に関与するsynthaseの特性

L-Arginine(Arg)のラット胸部大動脈弛緩作用は平滑筋で誘導されたNO synthaseによって産生されるNO(muscle-derived nitric oxide; MDNO)を介していることを我々はすでに報告している. さらに栄養液中のCa++ を除去してもArgのcyclic GMP産生量に変化がなかったことから, 平滑筋において誘導されるNO synthaseは外液中のCa++ には依存しないと推測した. そこで今回, 平滑筋細胞内におけるCa動態の変化が平滑筋で誘導されたNO synthaseを介する弛緩反応に影響をおよぼすかどうか, 細胞内Ca-storeに存在するCa...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1993, Vol.101 (2), p.13-13
Hauptverfasser: 今川昌之, 貴田寛, 武内正吾, 久山哲廣, 守時英喜
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:L-Arginine(Arg)のラット胸部大動脈弛緩作用は平滑筋で誘導されたNO synthaseによって産生されるNO(muscle-derived nitric oxide; MDNO)を介していることを我々はすでに報告している. さらに栄養液中のCa++ を除去してもArgのcyclic GMP産生量に変化がなかったことから, 平滑筋において誘導されるNO synthaseは外液中のCa++ には依存しないと推測した. そこで今回, 平滑筋細胞内におけるCa動態の変化が平滑筋で誘導されたNO synthaseを介する弛緩反応に影響をおよぼすかどうか, 細胞内Ca-storeに存在するCa-induced Ca-release(CICR)機構に特異的に作用して, この機構を活性化状態に固定するryanodine(RND)を用いて血管内皮に存在するconstitutive typeのNO synthaseを介する弛緩反応と比較検討した. 1.NDを適用してCICRに関与するCa-storeのチャネルを開口固定した状態ではacetylcholineやATPによる内皮依存性の弛緩反応は抑制され, さらにcyclic GMP産生量も顕著に抑制された. それに対してArgによる内皮非依存性の弛緩反応はRNDを適用しても全く影響を受けなかった. 2.Ca-ionophore A23187の弛緩作用は内皮依存性ではあるがRND処置の影響を受けなかった. 3.平滑筋に存在するsoluble guanylate cyclaseを活性化するnitroprussideの弛緩作用もRNDで抑制されなかった. 以上, 平滑筋におけるArgの弛緩作用は外液中のCa++ に依存せず, さらに細胞内のRND sensitiveなCa channelを有するCa-storeからのCa++ にも依存していないと考えられる. すなわちArgの弛緩作用を司る平滑筋のNO synthaseは細胞内Ca動態の影響を受けないことが示唆された.
ISSN:0015-5691