マウスの神経筋接合部における伝達物質の素量性放出と神経終末部の電位変化におよぼす低温の影響

温度の低下は神経伝達物質の誘発性放出量増加させる. この増加には活動電位の持続の延長が関連するようであるが, これを実証した例は見あたらない. 本研究ではその可能性を調べた. マウスの横隔膜神経筋標本を用いた. 低濃度Ca^2+ ・高濃度Mg^2+ 含有Krebs-Ringer液中で伝達物質の放出を細胞内電極法により測定した. 運動神経終末部の電位変化を細胞外誘導法により測定した(Brigant & Mallart, 1982). 自発性の伝達物質放出量は低温下で抑制されたが, 誘発性の放出量は逆に促進された. 自発性放出の温度係数(Q_10 )は測定温度範囲に対して主に正の対応をした...

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Hauptverfasser: 佐藤栄輝, 清水祥夫, 西村昌数, 横山貴子, 矢ケ崎修
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:温度の低下は神経伝達物質の誘発性放出量増加させる. この増加には活動電位の持続の延長が関連するようであるが, これを実証した例は見あたらない. 本研究ではその可能性を調べた. マウスの横隔膜神経筋標本を用いた. 低濃度Ca^2+ ・高濃度Mg^2+ 含有Krebs-Ringer液中で伝達物質の放出を細胞内電極法により測定した. 運動神経終末部の電位変化を細胞外誘導法により測定した(Brigant & Mallart, 1982). 自発性の伝達物質放出量は低温下で抑制されたが, 誘発性の放出量は逆に促進された. 自発性放出の温度係数(Q_10 )は測定温度範囲に対して主に正の対応をしたが, 誘発性放出のそれは一貫して負の対応を示した. 低温下の誘発性伝達物質放出のCa依存性は自発性放出から独立した. 神経末端で測定されるCd^2+ 感受性内向き電流の持続は温度の低下と共に延長した. 以上の成績から,温度の低下が伝達物質放出を促進する作用にはCa流入期の延長が関与する可能性がある.誘発性の伝達物質の放出過程そのものはほとんどエネルギー非依存性である可能性が高い.
ISSN:0015-5691