チューブリン-G蛋白質連関による細胞情報伝達系の調節

近年, Tubulin(Tu)がGiと会合し, その際, TuからGi aへのグアニンヌクレオチド(GN)の転移反応を介して, アデニル酸シクラーゼ活性の抑制を生じることが示されている. このことは, 従来知られていた機能に加えて, Tuが細胞情報伝達系の調節にも関与していることを示唆している. 今回, 我々は, ラット大脳より調製したTuと線条体膜標品を用い, Tu-G蛋白質連関とその際のドパミン受容体親和性調節について検討した. Wistar系雄性ラットより調製した, [^^32 P]AAGTP(光親和型非水解性GTP類似体)結合型Tuと線条体膜標品とのインキュベーションによって, Gi...

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Hauptverfasser: 八田愼一, 大鹿英世, 小沢寛樹, 齋藤利和
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:近年, Tubulin(Tu)がGiと会合し, その際, TuからGi aへのグアニンヌクレオチド(GN)の転移反応を介して, アデニル酸シクラーゼ活性の抑制を生じることが示されている. このことは, 従来知られていた機能に加えて, Tuが細胞情報伝達系の調節にも関与していることを示唆している. 今回, 我々は, ラット大脳より調製したTuと線条体膜標品を用い, Tu-G蛋白質連関とその際のドパミン受容体親和性調節について検討した. Wistar系雄性ラットより調製した, [^^32 P]AAGTP(光親和型非水解性GTP類似体)結合型Tuと線条体膜標品とのインキュベーションによって, Gi aおよびGs aに[^^32 P]-AAGTPの結合を示す放射活性が認められ, TuからGiおよびGsへのGNの転移が示された. GppNHp結合型TuによるドパミンD_2 受容体親和性の調節について, [^^3 H]spiperone特異的結合のドパミンによる置換曲線から検討すると, 置換曲線は, 10^-6 MのTu-GppNHpの添加によって右方に移動し, この右方移動の程度は10^-6 MのGppNHpを単独で加えた場合とほぼ同程度であった. Tu-GppNHpによる置換曲線の右方移動は, TuからのGNの転移を介して活性化されたGiとD_2 受容体との共役を反映しているものと考えられる. これらの結果から, TuはGi蛋白質と連関し, GioへのGN転移を介して受容体親和性の調節にも関与していることが示唆された.
ISSN:0015-5691