中枢神経系におけるNitric Oxide(NO)の摂食への関与の可能性
Nitric Oxide(NO)は新しいシグナル伝達物質として注目されている. 一方, 食欲の神経性調節機構についてはいまだ確立されていない. そこで, 本実験では中枢神経系におけるNOの摂食行動へ関与を検討することにした. 満腹ラットにおいて, NO合成酵素の基質であるアルギニン(5nmol)を側脳室に直接注入すると摂食量は増加し, NO合成酵素の補酵素であるテトラハイドロビオプテリン(5nmol)を注入するとやはり摂食量は増加した. また, アルギニンとテトラハイドロビオプテリンの効果は相加的であった. さらに, アルギニンによる摂食量の増加は, NO合成酵素の阻害剤であるL-NMMA(1...
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Format: | Tagungsbericht |
Sprache: | jpn |
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Zusammenfassung: | Nitric Oxide(NO)は新しいシグナル伝達物質として注目されている. 一方, 食欲の神経性調節機構についてはいまだ確立されていない. そこで, 本実験では中枢神経系におけるNOの摂食行動へ関与を検討することにした. 満腹ラットにおいて, NO合成酵素の基質であるアルギニン(5nmol)を側脳室に直接注入すると摂食量は増加し, NO合成酵素の補酵素であるテトラハイドロビオプテリン(5nmol)を注入するとやはり摂食量は増加した. また, アルギニンとテトラハイドロビオプテリンの効果は相加的であった. さらに, アルギニンによる摂食量の増加は, NO合成酵素の阻害剤であるL-NMMA(10nmol)を同時に投与することにより抑制された. この結果より, 満腹ラットにおいて見られるアルギニンによる摂食量の増加は, NO合成の増加によって引き起こされたと考えられる. そこで次に, 絶食後の生埋的な摂食亢進にNO関与しているかどうかを検討することにした. 満腹ラットにおいては, L-NMMAを投与しても摂食量には影響がなかったのに対し, 絶食後に見られる摂食量の増加は, L-NMMAにより有意に減少した. この結果は, 絶食後に見られる食欲亢進には, NOが関与していることを示唆する. 本研究により, 中枢神経系におけるNOは, 摂食亢進に対して重要な役割を果たしていることが示された. |
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ISSN: | 0015-5691 |