含硫アミノ酸タウリンの心臓電気生理学的作用

従来, タウリンの心臓作用として陽性変力作用, 抗不整脈作用が報告されてきた. 今回演者らは, パッチクランプ法によりタウリン(5-50mM)の電気生理学的作用を検討した. タウリンは膜電位を大半の例で軽度に過分極させたが, 一部の例では逆に脱分極を生じた. タウリンは心筋 Na^+ 電流を軽度に可逆的に抑制したが, Na^+ チャネルのカイネティクスには影響しなかった. タウリンは Ca電流を低外 Ca濃度(0.8-0.9mM)下では軽度に増加させ, 高外液 Ca濃度(3.6mM)下では軽度に抑制した. また高 Ca 環境下では活動電位持続時間はタウリンで軽度に短縮し, 低 Ca 環境下では...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1992, Vol.99 (2), p.46-46
Hauptverfasser: 佐田英明, 藤田健, 田中侯太郎, 小島康生, 伴隆志
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:従来, タウリンの心臓作用として陽性変力作用, 抗不整脈作用が報告されてきた. 今回演者らは, パッチクランプ法によりタウリン(5-50mM)の電気生理学的作用を検討した. タウリンは膜電位を大半の例で軽度に過分極させたが, 一部の例では逆に脱分極を生じた. タウリンは心筋 Na^+ 電流を軽度に可逆的に抑制したが, Na^+ チャネルのカイネティクスには影響しなかった. タウリンは Ca電流を低外 Ca濃度(0.8-0.9mM)下では軽度に増加させ, 高外液 Ca濃度(3.6mM)下では軽度に抑制した. また高 Ca 環境下では活動電位持続時間はタウリンで軽度に短縮し, 低 Ca 環境下では延長した. また内向き整流型 K^+ 電流は 0mV より陽性電位領域でタウリンにより外向きに増大し, この作用はタウリン洗浄と共に消失した. 以上より(1)タウリンの変力作用は Ca電流の消長と一部関係のありそうなこと, (2)膜電位に対して, タウリンは異なったイオン機構を通じて過分極と脱分極の二方向に作用し得ること, (3)活動電位持続時間の変化は Ca電流の変化を主に反映していること, (4)以前報告されたタウリンの抗不整脈作用は Na電流抑制と膜過分極の双方に由来するものかもしれないことが結論された.
ISSN:0015-5691