Asebotoxin III 誘起中枢性肺出血の発生機構
中枢原性肺水腫は, 臨床的に頭部外傷, 脳腫瘍の際にしばしば発生するが, そのメカニズムについては未だ不明な点も多い. 我々はこれまでに, asebotoxin III(ATX)が最も微量で, その脳室内投与によって中枢性肺出血を誘起することから, これをその病態モデルとして究明にあたってきた. 「実験方法」体重300g~350gの雄性Wistar系ラットをpentobarbital(PB, 25mg/kg,i. p. )にて麻酔し, serotonin受容体遮断作用のあるketanserin(KT, 5mg/kg,i. v. )およびpropranolol(PP, 0.5mg/kg,i. v...
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Veröffentlicht in: | 日本薬理学雑誌 1991, Vol.98 (6), p.550-550 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 中枢原性肺水腫は, 臨床的に頭部外傷, 脳腫瘍の際にしばしば発生するが, そのメカニズムについては未だ不明な点も多い. 我々はこれまでに, asebotoxin III(ATX)が最も微量で, その脳室内投与によって中枢性肺出血を誘起することから, これをその病態モデルとして究明にあたってきた. 「実験方法」体重300g~350gの雄性Wistar系ラットをpentobarbital(PB, 25mg/kg,i. p. )にて麻酔し, serotonin受容体遮断作用のあるketanserin(KT, 5mg/kg,i. v. )およびpropranolol(PP, 0.5mg/kg,i. v. ), spiperone(SP, 5mg/kg,i. v. ), さらに比較対照としてhaloperidol(HP, 10mg/kg,i. v. ), chlorpromazine(CP, 10mg/kg,i. v. ), metoprolol(3mg/kg,i. v. ), pindolol(0.3mg/kg,i. v. )を前投与して, ATX 8μgをラットの側脳室内投与による中枢性肺出血におよぼす影響を観察した. 「結果」ATXによる肺出血はKT,HP,CP,SPによって抑制された. これに対し, PP前処置群で, より激しい肺出血(心肺重量比でPT麻酔ラットの約1.2倍)を誘起した. そのほかのβ遮断薬前処置は, 肺出血に対して影響しなかった. これら肺出血発生例の血圧および脳波所見として, 血圧の急激な上昇(60~80mmHg)が観察され, 皮質脳波はATX投与後, 低振幅, 間歇的速波が出現した. 肺出血が抑制された群と悪化した群の比較では, 脳波の振幅および周波数に差が認められた. 以上の結果, ATX誘起肺出血がこれまでのdopamine,norepinephrine作働ニューロンを介する経路に加えて, serotonin作働ニューロンによって影響を受けること, さらに5HT_1 受容体遮断と5HT_2 受容体遮断が, ATX誘起肺出血に対して, 互いに逆の効果をもたらすことが示唆された. |
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ISSN: | 0015-5691 |