内胸および冠動脈における血管拡張薬作用の比較

冠動脈バイパス術に多く用いられる内胸動脈(ITA)の血管拡張薬作用を冠動脈(CA)のそれと比較検討した. イヌのITAとCAのラセン状条片標本(内皮正常および除去)を作成し, その等尺性変化を記録した. セロトニンで収縮させたCAは, Isoproterenolの用量に応じて弛緩したが, ITAは弛緩しなかった. Forskolinは, CAおよびITAを共に用量依存性に弛緩した. 「^^3 H」dihydro-alprenololを用いた結合実験において, BmaxはITAの方がCAに比べ有意に低値であった. AChはCAおよびITAを用量依存性に弛緩したが, 低濃度での弛緩反応はITAで強...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1991, Vol.98 (6), p.537-537
Hauptverfasser: 白石昭一郎, 吉田一秀, 岡村富夫, 戸田昇
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:冠動脈バイパス術に多く用いられる内胸動脈(ITA)の血管拡張薬作用を冠動脈(CA)のそれと比較検討した. イヌのITAとCAのラセン状条片標本(内皮正常および除去)を作成し, その等尺性変化を記録した. セロトニンで収縮させたCAは, Isoproterenolの用量に応じて弛緩したが, ITAは弛緩しなかった. Forskolinは, CAおよびITAを共に用量依存性に弛緩した. 「^^3 H」dihydro-alprenololを用いた結合実験において, BmaxはITAの方がCAに比べ有意に低値であった. AChはCAおよびITAを用量依存性に弛緩したが, 低濃度での弛緩反応はITAで強かった. この弛緩反応は内膜除去およびN^G -nitro-L-arginine処置により強く抑制されたが, indomethacin処置では影響を受けなかった. A23187も内膜依存性に両動脈を弛緩したが, その程度はCAの方が有意に大であった. また, 酸化窒素(NO)は, 両動脈を内膜非依存性に弛緩し, その程度はCAの方が有意に大であった. (結論)ITAは, CAと同様にAChにより内皮由来NOの遊離を介して弛緩するが, AChによるNOの遊離はCAよりも多いようである. また, ITAでは弛緩をmediateするβ受容体は, 存在したとしても極めて少ないと思われる.
ISSN:0015-5691