網膜におけるプロテインキナーゼCサブタイプの分布

種々の細胞膜情報伝達機構に関与する燐酸化酵素の1つであるプロテインキナーゼCは8種類以上のサブタイプからなるファミリーを形成していることが知られており, これらのサブタイプは臓器分布, 脳内分布, 細胞内局在, 酵素学的特性が異なり, それぞれが異なる生理機能に関与していると考えられている. 網膜においてもプロテインキナーゼCは伝達物質の遊離や視機能に関与していることが示されているが, プロテインキナーゼCのどのサブタイプが網膜の機能に関与しているかは明らかではない. 網膜に存在するプロテインキナーゼCサブタイプを明らかにするために, プロテインキナーゼCサブタイプを分離し, 酵素学的な特性や...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Hauptverfasser: 斉藤尚亮, 福田薫, 細田弘吉, 高石知明, 大澤一郎, 富永正吾, 吉原千佳, 戸谷由樹, 田中千賀子
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:種々の細胞膜情報伝達機構に関与する燐酸化酵素の1つであるプロテインキナーゼCは8種類以上のサブタイプからなるファミリーを形成していることが知られており, これらのサブタイプは臓器分布, 脳内分布, 細胞内局在, 酵素学的特性が異なり, それぞれが異なる生理機能に関与していると考えられている. 網膜においてもプロテインキナーゼCは伝達物質の遊離や視機能に関与していることが示されているが, プロテインキナーゼCのどのサブタイプが網膜の機能に関与しているかは明らかではない. 網膜に存在するプロテインキナーゼCサブタイプを明らかにするために, プロテインキナーゼCサブタイプを分離し, 酵素学的な特性や分布について検討を加えた. ラット網膜の可溶性分画をハイドロキシアパタイトカラムクロマトグラフィーで分離すると2つのタイプのプロテインキナーゼC(ピーク1, 2)が分離され, 酵素学的特性からそれぞれが脳におけるタイプ2, およびタイプ3であると考えられた. さらにイムノブロット法によってそれぞれの分画にはβI-PKCとα-PKCが含まれていたがどちらの分画にもβII-PKCとγ-PKCは認められなかった. さらにノーザンブロット法によってδ, ε, ζ-PKCも発現していることが示された. 免疫染色によって, ラット網膜でのα-PKCとβI-PKCの局在を調べた結果, それぞれの分子種は異なる分布を示した. これらの事実は, 網膜においてはα-PKC及びβI-PKCが視覚路において異なる細胞内情報伝達機能に関与していることを示している.
ISSN:0015-5691