両側腎摘除ラットの血漿アンジオテンシノーゲン増加機構:インターロイキン6の関与

両側腎摘除により, 血漿アンジオテンシノーゲン(AGN)濃度が著しく増加することは以前より知られるが, その機構は明かでない. 炎症刺激による肝AGN合成亢進がサイトカインの1種インターロイキン6 (IL-6)により介されることを報告してきたが, 腎摘除による上記反応にも関与する因子であるかをラットを用いて検討した. 腎摘除により血漿AGNは12時間後に約6倍に増加し, 模擬手術では2倍の増加であった. 術後4時間に調製した単離肝細胞のin vitro AGN分泌量は, 腎摘除>模擬手術>無処置であった. 腎摘除群, 模擬手術群ともに血清IL-6濃度は術後2-4時間に一過性の増加(...

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Hauptverfasser: 葭矢匡志, 屋山勝俊, 伊藤徳夫, 岡本博
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:両側腎摘除により, 血漿アンジオテンシノーゲン(AGN)濃度が著しく増加することは以前より知られるが, その機構は明かでない. 炎症刺激による肝AGN合成亢進がサイトカインの1種インターロイキン6 (IL-6)により介されることを報告してきたが, 腎摘除による上記反応にも関与する因子であるかをラットを用いて検討した. 腎摘除により血漿AGNは12時間後に約6倍に増加し, 模擬手術では2倍の増加であった. 術後4時間に調製した単離肝細胞のin vitro AGN分泌量は, 腎摘除>模擬手術>無処置であった. 腎摘除群, 模擬手術群ともに血清IL-6濃度は術後2-4時間に一過性の増加(0.4-0.6ng/ml)を示したが, 培養肝癌細胞のAGN産生に対して, これら血清の10%添加は無作用であった. エンドトキシン投与により血清IL-6濃度は2時間後に0.55μg/mlに達し, 血漿AGNは3倍に増加した. この血清の10%添加は肝癌細胞AGN産生を著明に刺激した. 以上の結果から, 両側腎摘除による血漿AGN濃度増加は一部何等かの機構による肝AGN合成亢進に基づくが, IL-6がその因子ではないと考える.
ISSN:0015-5691