ラットのカラゲナン炎症時における肝薬物代謝酵素活性の変動(第4報)
先に我々はカラゲナン炎症ラットでは肝薬物代謝酵素活性が低下することをin vitroの実験で認め, その低下に性差が存在することを報告してきた. [第41回日本薬理学会北部会]今回はラットを用い, アンチピリン(20mg/kg p.o.)投与後の血漿中濃度を示標として薬物速度論的な解析を行い, また2つの抗炎症薬, アスピリン(100mg/kg p.o.)とデキサメタゾン(0.5mg/kg s.c.)のカラゲナンによっておきる肝薬物代謝酵素活性の抑制に対する影響について検討した. なお実験には6週令のWistar系雄性ラット1群6匹を使用した. その結果, アンチピリン投与後の血漿中アンチピリ...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 日本薬理学雑誌 1991, Vol.98 (3), p.27-27 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 先に我々はカラゲナン炎症ラットでは肝薬物代謝酵素活性が低下することをin vitroの実験で認め, その低下に性差が存在することを報告してきた. [第41回日本薬理学会北部会]今回はラットを用い, アンチピリン(20mg/kg p.o.)投与後の血漿中濃度を示標として薬物速度論的な解析を行い, また2つの抗炎症薬, アスピリン(100mg/kg p.o.)とデキサメタゾン(0.5mg/kg s.c.)のカラゲナンによっておきる肝薬物代謝酵素活性の抑制に対する影響について検討した. なお実験には6週令のWistar系雄性ラット1群6匹を使用した. その結果, アンチピリン投与後の血漿中アンチピリンの動態をHPLCにより測定したところ, カラゲナン投与群ではke値が低下し, t_1/2 , CL_tot , AUC値の著明な上昇が認められたことにより, カラゲナン投与により肝薬物代謝酵素活性が抑制されることがin vivoにおいても確認された. また浮腫と肝薬物代謝酵素活性の抑制との関係を検討すると, 1)カラゲナン単独投与群では, 浮腫率は, 投与後7時間後に最大となりその後減少したが, 肝9000×g上清画分におけるチトクロームP-450含量は投与後18時間後から減少する傾向が見られ24時間後の減少が最も大きかった. 2)24時間までの浮腫率を面積値で比較したところ, 抗炎症薬の前投与により, カラゲナン浮腫はアスピリンで33%, デキサメタゾンで65%抑制され, 一方, カラゲナン単独投与時にみられた肝薬物代謝酵素活性の低下作用は, これら抗炎症薬の投与によりほとんど発現が認められなかった. 以上のことによりカラゲナン炎症時にみられる薬物代謝酵素活性の低下と浮腫との間には密接な関係があることが示唆された. |
---|---|
ISSN: | 0015-5691 |