フリーラジカルによるイヌ冠血管収縮反応
フリーラジカルは, KClによって誘発される冠血管収縮を増強させることが知られている. しかし現時点で, この収縮増強作用の詳細なメカニズムは不明である. 本研究は, フリーラジカルとくにhydroxyl radicalのKCl誘発冠血管収縮の増強メカニズムを明らかにするために計画された. 摘出イヌ左回旋枝冠状動脈から2mm幅の輪状標本を作成し, 栄養液を満たした臓器槽中に1.5gの負荷をかけて懸垂した. 安定を得た後, 血管反応の指標として等尺性張力変化を記録した. また, in virtoにおけるhydroxyl radical発生系として, dihydroxyfumarate(DHF)/...
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Zusammenfassung: | フリーラジカルは, KClによって誘発される冠血管収縮を増強させることが知られている. しかし現時点で, この収縮増強作用の詳細なメカニズムは不明である. 本研究は, フリーラジカルとくにhydroxyl radicalのKCl誘発冠血管収縮の増強メカニズムを明らかにするために計画された. 摘出イヌ左回旋枝冠状動脈から2mm幅の輪状標本を作成し, 栄養液を満たした臓器槽中に1.5gの負荷をかけて懸垂した. 安定を得た後, 血管反応の指標として等尺性張力変化を記録した. また, in virtoにおけるhydroxyl radical発生系として, dihydroxyfumarate(DHF)/Fe^3+ -ADP系を用いた. 発生radical種は, 電子スピン共鳴(ESR)法によりhydroxyl radicalであることを確認した. Fe^3+ -ADP(42nM FeCl_3 +15μMADP)存在下でDHF(0.8-5.8mM)は60mM KClで前収縮させた血管標本を濃度依存性に収縮増大させた. この反応性は, superoxide dismutase(SOD, 20μg/ml)とcatalase(20μg/ml)の共存下で著明に抑制された. ここで使用したSODおよびcatalase濃度は, 単独処置では全く無効なものであった. また, KCl(0-70mM)およびCaCl_2 (10^-8 -10^-2 M, 60mM KCl存在下)で生じるそれぞれの最大収縮反応は, DHF/Fe^3+ -ADP暴露下で著明に増強された. この効果は, 内皮細胞を除去することにより消失し, dihydropyridine系のカルシウム拮抗薬であるnifedipine(5×10^-9 M), nisoldipine(10^-9 M), あるいはcyclooxygenase inhibitorであるindomethacin(5×10^-4 M)により著明に抑制を受けた. 以上の結果は, hydroxyl radicalによる冠血管収縮反応は, とくに内皮細胞由来prostaglandin類に関連した収縮物質に依存している可能性を示し, しかも, 電位依存性カルシウムチャンネルを介している可能性を示唆している. |
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ISSN: | 0015-5691 |