Asebotoxin-III誘起中枢性肺出血の発生機構

我々は, これまでasebotoxin-III (ATX)の脳室内投与によって誘起される中枢性肺出血を病態モデルとして, 中枢性肺水腫のメカニズムの究明を試みてきた. 今回は, ATX誘起中枢性肺出血と, その脳波所見を神経伝達物質との関連において検討した. 「実験方法」350~400gの雄性Wistar系ラットをpentobarbital(PB:25mg/kg,i. p. )及び, 神経伝達物質との関連が明らかな中枢神経抑制薬diazepam(DZ:5mg/kg,i. p. ), haloperidol(HP:20mg/kg,i.P.), chlorpromazine(CP:50mg/kg,...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1991, Vol.97 (3), p.31-31
Hauptverfasser: 竹谷和視, 前川寛, 堀田芳弘, 矢島道夫, 安藤裕明, 野村博彦, 天野光人, 榊原仁作
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:我々は, これまでasebotoxin-III (ATX)の脳室内投与によって誘起される中枢性肺出血を病態モデルとして, 中枢性肺水腫のメカニズムの究明を試みてきた. 今回は, ATX誘起中枢性肺出血と, その脳波所見を神経伝達物質との関連において検討した. 「実験方法」350~400gの雄性Wistar系ラットをpentobarbital(PB:25mg/kg,i. p. )及び, 神経伝達物質との関連が明らかな中枢神経抑制薬diazepam(DZ:5mg/kg,i. p. ), haloperidol(HP:20mg/kg,i.P.), chlorpromazine(CP:50mg/kg,i. p. ), spiperone(SP:15mg/kg,i.p. )によって麻酔し, ATX 8μgの側脳室内投与による皮質脳波と血圧変化を観察した. 「結果」ATX8μg脳室内投与によって, すべての中枢神経抑制薬前処置ラットで80~140mmHgの急激な血圧上昇が観察され, 6~12分後死に至った. 皮質脳波では, PBとDZ前処置群でATX投与後, 低振幅となり, 間歇的に速波が出現した. これらの二群では, 心肺重量比で対照群の約3倍の激しい肺出血を誘発した. HP,SP前処置群では, ATX投与後, 数分間にわたり高振幅棘波が連鎖して出現した. また, CP前処置群では連続した棘波に加えて, 間歇的に速波が出現した. HP,SP,CP前処置群は, PB,DZ前処置群との脳波所見の差と一致して, 肺出血の誘起は認められなかった. 以上の結果, ATX脳室内投与による中枢性肺出血が, HP,SP,CP前処置によって抑制され, それらの皮質脳波の変化が, 抑制効果のないPB,DZと異なったpatternを示すことから, ATXによる皮質脳波の変化及び中枢性肺出血が, 特定の中枢神経伝達系(恐らくモノアミン系)によって著名な影響を受けることが明かとなった.
ISSN:0015-5691