ラット心筋に於けるエンドセリン受容体

我々は先に, エンドセリン(ET-1, ET-3)が, 新生児, 成熟ラットの心房筋に対しては共に陽性変時・変力作用を示すのに対し, 心室筋に於いては新生児の時には陽性変力反応を惹起するが, 成熟するとその作用が大きく減弱或は消失するという, 成長に伴うETの反応性の変化について報告した. 今回, この成長に伴う変化について, 受容体レベルでの解析を追加した. 新生児(4-7日齢)及び成熟(8週齢)ラットの心房, 心室, 計4種類の膜標本に対する受容体結合実験を行った. いずれの標本に於いても, ET-1とET-3に対して共通な特異的結合部位の存在が認められた. Scatohard解析の結果,...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1990, Vol.96 (6), p.355-355
Hauptverfasser: 石川智久, 李黎明, 新見修, 木村定雄, 柳沢正史, 後藤勝年, 眞崎知生
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:我々は先に, エンドセリン(ET-1, ET-3)が, 新生児, 成熟ラットの心房筋に対しては共に陽性変時・変力作用を示すのに対し, 心室筋に於いては新生児の時には陽性変力反応を惹起するが, 成熟するとその作用が大きく減弱或は消失するという, 成長に伴うETの反応性の変化について報告した. 今回, この成長に伴う変化について, 受容体レベルでの解析を追加した. 新生児(4-7日齢)及び成熟(8週齢)ラットの心房, 心室, 計4種類の膜標本に対する受容体結合実験を行った. いずれの標本に於いても, ET-1とET-3に対して共通な特異的結合部位の存在が認められた. Scatohard解析の結果, 新生児ラットの両標本, 及び成熟ラットの心房筋膜標本には高親和性と低親和性の2種類の結合部位の存在が認められたが, 成熟ラットの心室筋膜標本には高親和性の結合部位しか検出されなかった. 以上の結果を収縮反応の結果と照合すると, ETの陽性変力作用には低親和性の結合部位が大きく寄与しており, 成熟ラットの心室筋はこの低親和性結合部位が消失或は著しく減少しているために陽性変力反応が生じにくいのではないかと推察された.
ISSN:0015-5691