心機能調節におけるカルモデュリン依存性リン酸化反応の役割
心機能におけるCa/カルモデュリン依存性リン酸化反応の関与を調べるために, 我々は, 新しく創製したカルモデュリン依存性プロテインキナーゼII(キナーゼII)阻害剤KN-62(JBC, 265,4315,1990)の心筋ホスホランバンのリン酸化に対する作用を検討した. KN-62は, カルモデュリンに競合的にキナーゼIIを阻害し, そのKi値は0.3μMであった. KN-62は, 心筋SR中ホスホランバンのcAMP依存性リン酸化には影響することなく, カルモデュリン依存性リン酸化を選択的に阻害した. そこで, カルモデュリン依存性キナーゼをイヌ心筋より精製し性質を調べると, ラット脳のキナーゼ...
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Veröffentlicht in: | 日本薬理学雑誌 1990, Vol.96 (2), p.133-133 |
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Hauptverfasser: | , , , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 心機能におけるCa/カルモデュリン依存性リン酸化反応の関与を調べるために, 我々は, 新しく創製したカルモデュリン依存性プロテインキナーゼII(キナーゼII)阻害剤KN-62(JBC, 265,4315,1990)の心筋ホスホランバンのリン酸化に対する作用を検討した. KN-62は, カルモデュリンに競合的にキナーゼIIを阻害し, そのKi値は0.3μMであった. KN-62は, 心筋SR中ホスホランバンのcAMP依存性リン酸化には影響することなく, カルモデュリン依存性リン酸化を選択的に阻害した. そこで, カルモデュリン依存性キナーゼをイヌ心筋より精製し性質を調べると, ラット脳のキナーゼII抗体で認識され(分子量55kDa), Ca/カルモデュリン存在下でのみイヌ心筋SRから高度に精製したホスホランバンをリン酸化したことから, 心筋タイプのキナーゼIIであることが判明した. KN-62は, このリン酸化反応を用量依存性に阻害し, また, カルモデュリン依存性リン酸化により活性化された心筋SRのCa-Mg ATPase活性を有意に阻害した. 以上より, 心筋SRの機能の調節にキナーゼIIが関与していることが示唆された. また, KN-62は, キナーゼIIによるリン酸化反応の生物学的意義を解明するための薬理学的toolとして有用であると思われた. |
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ISSN: | 0015-5691 |