血管の反応性に対するVitamin Eの効果

Vitamin E(VE)は強い抗酸化作用によって, 血管の老化を防ぐといわれているが薬理学的な裏付けはない. そこで, 私達はVE含量の異なった飼料(VE欠乏, 正常量, 過剰量)でラットを飼育し, 胸部大動脈の拡張とcGMPの産生に対するVEの効果を検討した. 1. 加齢に伴ってATPに対する血管拡張反応は減弱してゆくが, VE欠乏ラットの血管ではこの減弱が正常な血管に比べると促進されていた. 一方, VE過剰ラットの血管では加齢に伴う拡張反応の減弱は防止された. 2.14週齢の正常ラット血管でxanthine-xanthine oxidaseによって産生された活性酸素は, AChによる拡...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1990, Vol.96 (2), p.133-133
Hauptverfasser: 山本貴昭, 武内正吾, 福沢健治, 久山哲廣, 守時英喜
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:Vitamin E(VE)は強い抗酸化作用によって, 血管の老化を防ぐといわれているが薬理学的な裏付けはない. そこで, 私達はVE含量の異なった飼料(VE欠乏, 正常量, 過剰量)でラットを飼育し, 胸部大動脈の拡張とcGMPの産生に対するVEの効果を検討した. 1. 加齢に伴ってATPに対する血管拡張反応は減弱してゆくが, VE欠乏ラットの血管ではこの減弱が正常な血管に比べると促進されていた. 一方, VE過剰ラットの血管では加齢に伴う拡張反応の減弱は防止された. 2.14週齢の正常ラット血管でxanthine-xanthine oxidaseによって産生された活性酸素は, AChによる拡張反応を抑制した. この抑制効果はVE欠乏血管に対してより顕著に現われた. しかし, VE過剰血管では活性酸素の影響をほとんど受けなかった. 3. Nitroprussideによる血管拡張反応はVEの影響もまた, 活性酸素による阻害も受けなかった. 4. ATPは血管のcGMP産生量を増加させるが, VE欠乏ラット血管ではcGMPの産生量は正常ラットに比べ抑えられていた. 以上, VEは加齢による血管内皮機能の低下と活性酸素による障害発生を防止することが示唆された.
ISSN:0015-5691