ラット脳大脳皮質スライスのイノシトールリン脂質代謝

ラット大脳皮質スライスを用いて, ノルエピネフリン(以下NE)及びカルバコール(以下Carb)のイノシトールリン脂質(以下PI)代謝回転刺激効果に対するin vitro及びin vivoの低酸素の影響を検討した. PI代謝回転は, 「^^3 H」inositolを用い, Brownら(J. Neurochem. 1984)の方法により測定した. In vitroの低酸素状態は, incubation mediumを95% N_2 /5% CO_2 で飽和して作製した. NEの刺激効果は, 低酸素下では有意に低下し, 再酸素化により, 対照値よりも有意に増加した. この低酸素負荷後の刺激効果増強...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1990, Vol.96 (2), p.121-121
Hauptverfasser: 二宮治明, 谷口隆之, 藤原元始
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:ラット大脳皮質スライスを用いて, ノルエピネフリン(以下NE)及びカルバコール(以下Carb)のイノシトールリン脂質(以下PI)代謝回転刺激効果に対するin vitro及びin vivoの低酸素の影響を検討した. PI代謝回転は, 「^^3 H」inositolを用い, Brownら(J. Neurochem. 1984)の方法により測定した. In vitroの低酸素状態は, incubation mediumを95% N_2 /5% CO_2 で飽和して作製した. NEの刺激効果は, 低酸素下では有意に低下し, 再酸素化により, 対照値よりも有意に増加した. この低酸素負荷後の刺激効果増強は, EC_50 値の低下によるものであり, 細胞外液中のCa^2+ の存在を必要とし, また, Carb刺激では認められなかった. In vivoの低酸素状態は, 密閉容器を8% O_2 /92% N_2 の混合ガスで灌流して作製した. In vivo低酸素負荷6時間後の大脳皮質切片でNEの刺激効果の増強が認められた. Carbの刺激効果は変化しなかった. 以上の結果より, 脳内α受容体と共役するPI代謝回転は, 低酸素負荷により有意に変動することが示された. このことは, 低酸素負荷による脳内シナプス伝達の変動に, PI代謝回転が関与する可能性を示唆する.
ISSN:0015-5691