食塩感受性Dahlラットの高血圧発症過程における摘出大動脈標本の低「Na+ 」_o 液収縮の増強

食塩感受性Dahl(S)ラットにおいて, 高血圧発症過程における血管平滑筋細胞膜のNa^+ /Ca^2+ exchangeの役割を検討する目的で, 摘出大動脈の「Na^+ 」_o 液による収縮を観察した. 高食塩食(8%NaCl)を与えて高血圧を発症させたSラットから摘出した大助脈のリング状標本をTyrode液中に懸垂し, phentolamine(10^-5 M), verapamil(10^-5 M), caffeine(5mM)存在下で, 低「Na^+ 」_o 液(「Na^+ 」_o =1.2mM,N-methyl-(D)-glucamineで置換)で収縮させた. Sラットの低「Na^+...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1990, Vol.96 (2), p.111-111
Hauptverfasser: 今吉薫, 川原公規, 三浦洋治, 乾淳
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:食塩感受性Dahl(S)ラットにおいて, 高血圧発症過程における血管平滑筋細胞膜のNa^+ /Ca^2+ exchangeの役割を検討する目的で, 摘出大動脈の「Na^+ 」_o 液による収縮を観察した. 高食塩食(8%NaCl)を与えて高血圧を発症させたSラットから摘出した大助脈のリング状標本をTyrode液中に懸垂し, phentolamine(10^-5 M), verapamil(10^-5 M), caffeine(5mM)存在下で, 低「Na^+ 」_o 液(「Na^+ 」_o =1.2mM,N-methyl-(D)-glucamineで置換)で収縮させた. Sラットの低「Na^+ 」_o 液収縮は高食塩食負荷前の33±10mgから高食塩食負荷1週間後69±19mg, 5週間後85±24mgと有意に増強され, この増強は血圧の上昇と相関した. またこの収縮は「Na^+ 」_o , 「Ca^2+ 」_o 依存性を示し, ouabainで増強された. 食塩非感受性Dahlラットでは高食塩食で血圧は変化せず, 低「Na^+ 」_o 液収縮は高食塩食1,5週間後に軽度増強傾向を示したにすぎなかった. 低食塩食(0.1%NaCl)を与えたSラットでは血圧および低「Na^+ 」_o 液収縮は変化しなかった. 以上, Sラットにおいて摘出大動脈の低「Na^+ 」_o 液収縮(Na^+ /Ca^2+ exchangeを介するCa^2+ 流入によると考えられる)は, 食塩負荷による高血圧発症に伴い増強され, この増強の一因として血管平滑筋の「Na^+ 」_i の上昇が示唆された. 食塩負荷Sラットの血管平滑筋では「Na^+ 」_i の上昇によりNa^+ /Ca^3+ exchangeを介する「Ca^2+ 」_i の増加が生じ, これが高血圧発症に関与している可能性が考えられる.
ISSN:0015-5691