クラス3抗不整脈剤の虚血再灌流不整脈に対する作用

現在, 活動電位の持続時間及び有効不応期を選択的に延長させるクラス3に属する抗不整脈剤が, 特に重症不整脈に対する効果が期待されることから注目されている. 既に我々はクラス3の薬物であるE-4031とd-sotalolがイヌの三種類の心室性不整脈モデル(アドレナリン, ジギタリス, 冠結紮)に対してほとんど効果を示さないことを報告した. そこで今回我々は, 麻酔犬の虚血再灌流不整脈モデルを用いてクラス3抗不整脈剤の作用について検討した. クラス3の抗不整脈剤としてはE-4031及び新しく開発中のMS-551を用いた. 「方法」10kg前後の雌雄のビーグル犬を用い, チオペンタールナトリウム(3...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1990, Vol.96 (2), p.98-98
Hauptverfasser: 平澤明, 春野明弘, 橋本敬太郎
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:現在, 活動電位の持続時間及び有効不応期を選択的に延長させるクラス3に属する抗不整脈剤が, 特に重症不整脈に対する効果が期待されることから注目されている. 既に我々はクラス3の薬物であるE-4031とd-sotalolがイヌの三種類の心室性不整脈モデル(アドレナリン, ジギタリス, 冠結紮)に対してほとんど効果を示さないことを報告した. そこで今回我々は, 麻酔犬の虚血再灌流不整脈モデルを用いてクラス3抗不整脈剤の作用について検討した. クラス3の抗不整脈剤としてはE-4031及び新しく開発中のMS-551を用いた. 「方法」10kg前後の雌雄のビーグル犬を用い, チオペンタールナトリウム(30mg/kg,i. v. )で麻酔を導入した後, 純酸素で気化した1%ハロセンで麻酔を維持し左開胸した. 左冠動脈前下行枝を剥離し, 30分間結紮後再灌流し, その際に発生する心室性不整脈に対する薬物の作用を検討した. 薬物は結紮30分前より再灌流終了時まで持続注入を行なった. 「結果」E-4031(30μg/kg+3μg/kg/min,i. v. )及びMS-551(60μg/kg/min,i. v. )投与群では, QT時間が40-70%延長し, 約半数に期外収縮を発生させたが, 虚血時及び再灌流時に発生する心室性不整脈に対しては抑制例が見られた. また心室細動, 致死率の改善効果も見られた. 「考察」虚血時及び再灌流時の不整脈の発生原因の一つとしてリエントリーが考えられている. クラス3抗不整脈剤の虚血再灌流時不整脈に対する改善効果は, 活動電位持続時間の延長によるりエントリーの抑制による可能性が考えられる. しかしクラス3の薬物には, それ自身QTの延長とともに催不整脈作用を持つことも示唆された.
ISSN:0015-5691