Ca2+ カルモデュリン依存性蛋白質リン酸化反応の薬理学的解析

我々は, これまで生体内におけるCa^2+ カルモデュリン依存性リン酸化反応の機能を解明するためにカルモデュリンアンタゴニストとしてw-7を, 又, Ca^2+ ・カルモデュリン依存性酸素の一つである平滑筋ミオシン軽鎖キナーゼの選択的阻害剤Mb-9を開発してきた. 今回, 我々は, ラット大脳Ca^2+ ・カルモデュリン依存性蛋白質リン酸化酵素(Ca^2+ /CaM Kinasen II)に対する選択的阻害剤(KN-62)を新規合成し, その作用機序について検討した. KN-62の阻害効果を種々の蛋白質リン酸化酵素活性において比校したところ, ミオシン軽鎖キナーゼ, Cキナーゼ, cAMP依存...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1990, Vol.95 (2), p.124-124
Hauptverfasser: 徳光浩, 千々和隆, 水谷顕洋, 寺澤求, 日高弘義
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:我々は, これまで生体内におけるCa^2+ カルモデュリン依存性リン酸化反応の機能を解明するためにカルモデュリンアンタゴニストとしてw-7を, 又, Ca^2+ ・カルモデュリン依存性酸素の一つである平滑筋ミオシン軽鎖キナーゼの選択的阻害剤Mb-9を開発してきた. 今回, 我々は, ラット大脳Ca^2+ ・カルモデュリン依存性蛋白質リン酸化酵素(Ca^2+ /CaM Kinasen II)に対する選択的阻害剤(KN-62)を新規合成し, その作用機序について検討した. KN-62の阻害効果を種々の蛋白質リン酸化酵素活性において比校したところ, ミオシン軽鎖キナーゼ, Cキナーゼ, cAMP依存性リン酸化酵素に対しては実際上全く作用せず(IC_50 値は100μM以上). Ca^2+ /CaMKmase1」に対しては, 0.1μMカルモデュリン依存下で0.3μMのIC_50 値を示した. 本薬剤の水溶性は100μM以下であるので, 実際上は非常に特異的な阻害剤といえよう. 又, この阻害機序はカルモデュリンと拮抗することにより発現する. 一方, KN-62はCA2^2+ /CaM Kinase IIの自己リン酸化反応を濃度依存的に阻害することから. KN-62の阻害作用はCa^2+ /CaM Kinase IIの基質へのリン酸化活性発現に不可欠である, Ca^2+ /CaM依存性の自己リン酸化反応を抑制する点にあると考えられる. 又, Binding assayの結果よりKN-62はカルモデュリンとは結合せず, 直接酵素に作用することが示唆された.
ISSN:0015-5691