イソキノリンスルフォナマイド誘導体HA1077の脳循環改善作用
我々は, これまで血管平滑筋収縮の細胞内Ca^2+ 情報伝達系を独自に開発した選択的阻害剤を用いて, 分子薬理学的に研究してきたが, 今回, イソキノリンスルフォナマイド誘導体中, 強力な血管弛緩作用を有する HA1077の脳血管に対する効果を調べ, 興味ある知見が得られたので報告する. (方法)ウサギおよびイヌの各種描出血管の等尺性張力変化をマグヌス法で記録すると共に, イヌにtwo-hemorrhageモデルによる実験的くも膜下出血(SAH)後の脳血管攣縮を惹起せしめ, 血管写を行った. (結果)HA1077は, ウサギ腸間膜動脈ラセン条片のCa^2+ 収縮を競合的に抑制したが, 他のCa...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 日本薬理学雑誌 1990, Vol.95 (2), p.122-122 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 我々は, これまで血管平滑筋収縮の細胞内Ca^2+ 情報伝達系を独自に開発した選択的阻害剤を用いて, 分子薬理学的に研究してきたが, 今回, イソキノリンスルフォナマイド誘導体中, 強力な血管弛緩作用を有する HA1077の脳血管に対する効果を調べ, 興味ある知見が得られたので報告する. (方法)ウサギおよびイヌの各種描出血管の等尺性張力変化をマグヌス法で記録すると共に, イヌにtwo-hemorrhageモデルによる実験的くも膜下出血(SAH)後の脳血管攣縮を惹起せしめ, 血管写を行った. (結果)HA1077は, ウサギ腸間膜動脈ラセン条片のCa^2+ 収縮を競合的に抑制したが, 他のCa2+拮抗薬と異なり. イヌ脳底動脈(MA)ラセン条片のA23187による収縮やCa^2+ 除去腹中でのフェニレフリンあるいはPGF_2 αによる収縮も用量依存性に抑制した. イヌのBA, 中大脳(MCA, 総頚および頚部椎骨動脈のKCl(15mM)収縮に対するHA1077の弛緩作用を比べると頭蓋内血管であるBAやMCAに約10倍選択性が高かった. 正常およびSAH 7日目のイヌより摘出したBAの15mMKCl 収縮に対する HA1077の弛緩作用はほぼ同じ(IC_50 1.8μM)であり, 攣縮血管に対しても効果があった. イヌのSAHモデルでは, 自家血注人後7日目に血管写上, BA径が第1日の60%に狭窄するが, HA1077は点滴静注で全身血圧の低下が比較的軽度の用量(1~3mg/kg)で, 脳血管攣縮を寛解させることが判明した. (結論)HA1077は, 脳血管に特異性のある血管拡張薬であり, 攣縮脳血管を強力に拡張させることが, 摘出標本だけでなく, 血管写上でも証明された. また, HA1077は脳循環改善薬として臨床応用できるものと期待される. |
---|---|
ISSN: | 0015-5691 |