キョートルフィン受容体拮抗薬としてのLeu-Arg
これまでの神経化学的な研究により鎮痛ベブチドキョートルフィンは中枢神経系において, 神経伝達(調節)物質として機能している可能性が示唆されてきたが, この神経ベブチドが生理学的にどの様な役割を果しているかは, 十分明かにされていない. この問題を明らかにするには, 先ず特異的な拮抗薬の開発が必須である. すでに我々はキョートルフィン結合実験及びそのレセプターと連関するG-蛋白活性の測定から見いだした, キョートルフィン拮抗薬候補ベブチド Leu-Argを報告しているが(JBC(1989)264,3732), 今回はその薬理学的有効性について述べる. In vitro実験 ラット脳幹部シナプス膜...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 日本薬理学雑誌 1990, Vol.95 (2), p.116-116 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | これまでの神経化学的な研究により鎮痛ベブチドキョートルフィンは中枢神経系において, 神経伝達(調節)物質として機能している可能性が示唆されてきたが, この神経ベブチドが生理学的にどの様な役割を果しているかは, 十分明かにされていない. この問題を明らかにするには, 先ず特異的な拮抗薬の開発が必須である. すでに我々はキョートルフィン結合実験及びそのレセプターと連関するG-蛋白活性の測定から見いだした, キョートルフィン拮抗薬候補ベブチド Leu-Argを報告しているが(JBC(1989)264,3732), 今回はその薬理学的有効性について述べる. In vitro実験 ラット脳幹部シナプス膜標品において, キョートルフィンは 1-100μMの範囲でGTPase活性を増加し, Leu-Arg 100nMはキョートルフィン10μMの効果を完全に遮断した. さらにLeu-Argはキョートルフィンによるラット脳幹部シナプス膜様品におけるホスホリバーゼC活性増強作用, フ才ルスコリン感受性アデニル酸シクラーゼ活性抑制作用, 及びシナプス膜より作製した再構築小胞モデル(神経化学(1989)28,70)におけるIP_3 感受性カルシウムチャンネル活性増強作用などに拮抗した. Ip yivo実験キョートルフィンのマウス脳室内投与による鎮痛効果(酢酸writhing法)は, 同時投与したLeu-Argにより拮抗されるが, メチオニンエンケファリンによる鎮痛効果の場合には拮抗は認められなかった. キョートルフィン生合成酵素にとって胎内アルギニン量が欠乏した状態にあること(JBC(1987)262,8165)を考慮し, アルギニンをマウス腹腔内投与した. この時, 脳幹部キョートルフィン含量の増加と鎮痛効果が認められたが, この鎮痛効果は Leu-Argの脳室内投与により遮断された. 以上より, Leu-Arg はキョートルフィン拮抗薬として薬理学的に有効な試薬であることが明らかになった. 今後このLeu-Argを使用することによりキョートルフィンの鎮痛以外の生理学的役割についても解明が進むものと期待される. |
---|---|
ISSN: | 0015-5691 |