ヒト脳における3 H-80H-DPAT結合部位の特性
セロトニン5-HTI_A 受容体は, 不安や情動反応に関係が深く, 精神分裂病の病態にセロトニン神経系の異常が関与する可能性が示唆されている. 我々は5-HTl_A 受容体を特異的に標識するとされる3 H-8-hydroly-2-(di-n-propylamino)tetralin(3 H-80H-DPAT)を用いて受容体結合実験を行い, ヒト死後脳における3 H-80H-DPAT結合の特性を解析し, 精神分裂病脳及びパーキンソン氏病脳における変化の有無について検索した. その結果, 1)ヒト前頭葉皮質及び海馬における3 H-80H-DPAT(0.3nM-15nM)特異結合は飽和性で, Sca...
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Veröffentlicht in: | 日本薬理学雑誌 1990, Vol.95 (2), p.113-113 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | セロトニン5-HTI_A 受容体は, 不安や情動反応に関係が深く, 精神分裂病の病態にセロトニン神経系の異常が関与する可能性が示唆されている. 我々は5-HTl_A 受容体を特異的に標識するとされる3 H-8-hydroly-2-(di-n-propylamino)tetralin(3 H-80H-DPAT)を用いて受容体結合実験を行い, ヒト死後脳における3 H-80H-DPAT結合の特性を解析し, 精神分裂病脳及びパーキンソン氏病脳における変化の有無について検索した. その結果, 1)ヒト前頭葉皮質及び海馬における3 H-80H-DPAT(0.3nM-15nM)特異結合は飽和性で, Scatchard解析の結果, 解離定数は各々5.7及び5.9nM, 最大結合量80及び100fmol/mg proteinの高親和性の単一成分からなっていた. 2)ヒト前頭葉皮質及び海馬における3 H-80H-DPAT特異結合に対し5-HTl_A 受容体アゴニスト及びアンタゴニストは80H-DPAT〉serotonin〉ipsapirone〉buspirone〉SM-3997〉gopirone>spiperoneの順でnMオーダーの阻害値を示した. 3)ヒト脳における3 H-80H-DPAT特異結合は海馬〉前頭葉皮質〉視床〉尾状核>小脳の順であった. 4)ヒト前頭葉皮質及び海馬において^^3 H-80H-DPAT特異結合はGTP感受性を示した. 5)分裂病群の前頭葉皮質における^^3 H-80H-DPAT特異結合は正常対照群に比べ約50%の有意の増加を示した. また分裂病群を死亡前1ヶ月以上抗精神肩薬を服薬していなかった群と死亡直前まで服薬していた群に分け検討したが両群間に^^3 H-80H-DPAT特異結合の差を認めなかった. パーキンソン氏病群では前頭葉皮質, 海馬の両部位において結合量に変化はなかった. 分裂肩群前頭葉皮質での^^3 H-80H-DPAT特異結合の増加は, 分裂病の病態にセロトニンを介する神経伝達の異常が関与している可能性を示唆した. |
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ISSN: | 0015-5691 |