ラット肺胞11型初代培養細胞における肺表面活性物質の分泌(第2報):A kinase及びC kinase活性化による調節

「目的」肺表面活性物質(PS)は主として肺胞11型細胞により合成・分泌され, 肺胞領域のみならず, 気道全域にわたって重要な役割を担っている. 今回, 肺胞11型細胞におけるPS分泌のA及びCkinase系による調節機構について詳細に検討した. 「方法」SPF Wistar系雄性rat(体重180-200g)を麻酔後, 肺を潅流して摘出した. さらに肺洗浄し, trypsin(0.06%)で細胞を分散後, rat IgG でコートした dish にて精製を行い, 10% FBS含有 DMEM 中で18時間培養した. PS分泌は培養液中に遊離された(^^3 H)phosphatidylcholi...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1990, Vol.95 (2), p.93-93
Hauptverfasser: 高木一範, 甲斐広文, 小田嘉明, 村原孝一郎, 安永多恵, 笠野真紀子, 高浜和夫, 宮田健
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「目的」肺表面活性物質(PS)は主として肺胞11型細胞により合成・分泌され, 肺胞領域のみならず, 気道全域にわたって重要な役割を担っている. 今回, 肺胞11型細胞におけるPS分泌のA及びCkinase系による調節機構について詳細に検討した. 「方法」SPF Wistar系雄性rat(体重180-200g)を麻酔後, 肺を潅流して摘出した. さらに肺洗浄し, trypsin(0.06%)で細胞を分散後, rat IgG でコートした dish にて精製を行い, 10% FBS含有 DMEM 中で18時間培養した. PS分泌は培養液中に遊離された(^^3 H)phosphatidylcholineの量を指標に, 細胞内c-AMP量はRIA kitにて測定した. 「結果及び考察」A kinase系を受容体部位で活性化するβ-作用薬(terbutaline)は, 濃度依存的(10^-9 M~10^-6 M)にPS分泌促進作用を示したが, 高濃度(10^-5 M)では逆にその作用は減弱した. しかし, 細胞内c-AMP level は高濃度(10^-5 M)まで濃度依存的に上昇した. terbutaline作用後の経時的な観察において細胞内c-AMP levelの変動と PS の分泌には, 明らかな相関性が認められた. これらのことからAkinase系を介したPSの分泌は, 一定levelまでは細胞内c-AMP levelに依存していることが示唆された. C kinase系を活性化する PMAも濃度依存的(10^-10 M~10^-7 M)にPS分泌を促進し, さらにterbutalineの併用により相乗的な分泌促進作用を示した. このことから PS分泌において, A kinase系とC kinase系の間には相互的な作用が働き, 両系は独立した経路でないことが示唆された.
ISSN:0015-5691