シュウ酸ナフチドロフリルの血管拡張作用機構のイヌおよびラットの摘出動脈標本における評価

シュウ酸ナフチドロフリル(1)の血管拡張作用の機構を,主としてイヌの摘出動脈リング状標本を用いて調べた.1)頸動脈,大腿動脈冠動脈,腎動脈および脳底動脈の静止張力に対して無影響.2)冠動脈,腎動脈および脳底動脈の KCl (25mM)性あるいは U46619(20nM)性収縮に対するパパベリン様作用は弱い.脳底動脈のブタ・エンドセリン(30nM)性収縮には無効,3)脳底および大腿動脈において強力な抗セロトニン作用を示し,前処置時の最低有効濃度はそれぞれ 0.3 と 0.1μM であった.しかし,脳底動脈の 8-OH-DPAT 性収縮には殆ど拮抗しない.4)イヌ頸動脈の灌流実験では,1nM の低...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1989, Vol.94(6), pp.371-377
Hauptverfasser: 小井田, 雅夫, 中牟田, 弘道, 六車, 恵子, 桜井, 裕士, 吉原, 新典, 糸数, 義彦, 太下, 隆之, 小川, 保直, 平松, 保造
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:シュウ酸ナフチドロフリル(1)の血管拡張作用の機構を,主としてイヌの摘出動脈リング状標本を用いて調べた.1)頸動脈,大腿動脈冠動脈,腎動脈および脳底動脈の静止張力に対して無影響.2)冠動脈,腎動脈および脳底動脈の KCl (25mM)性あるいは U46619(20nM)性収縮に対するパパベリン様作用は弱い.脳底動脈のブタ・エンドセリン(30nM)性収縮には無効,3)脳底および大腿動脈において強力な抗セロトニン作用を示し,前処置時の最低有効濃度はそれぞれ 0.3 と 0.1μM であった.しかし,脳底動脈の 8-OH-DPAT 性収縮には殆ど拮抗しない.4)イヌ頸動脈の灌流実験では,1nM の低濃度で血管弛緩性因子の遊離を促進した.5)ラットの胸部大動脈のフェニレフリン性収縮時に出現するパルス様振動に対しては ~0.1μMで無効6)上記2)~4)の実験系における1の作用はシュウ酸(~1mM)に由来しないことを確認した.得られた結果から,1は直接的な抗セロトニン作用のみならず血管弛緩因子の遊離を介して間接的に血管弛緩作用を発揮すると結論.
ISSN:0015-5691
1347-8397
DOI:10.1254/fpj.94.371