アミトリプチリンによるラット肝ミクロゾームの脂質変動

「目的」アミトリプチリン(AMT)は酵素誘導作用を有するか否かは明らかではない. 演者らは, AMTによるラット肝ミクロゾーム(Ms)薬物酸化系の誘導機構の指標の1つとしてMs膜の脂質量をフェノバルビタール(PB)と比較検討した. 「方法」SD系雄性ラット(150~180g)にAMT(600mg/kg,p. o. )およびPB(80mg/kg,i. p. )をそれぞれ単回投与し, 投与後6, 12, 18および24時間目の肝Msを常法に従って調製した. Msの総リン脂質(PL)量はFolch法で, コレステロール(CL)量ならびに個々のPL量とその構成脂肪酸(FA)量はBligh and Dy...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1989, Vol.94 (5), p.351-351
Hauptverfasser: 千田直人, 星勝治, 藤野澄子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「目的」アミトリプチリン(AMT)は酵素誘導作用を有するか否かは明らかではない. 演者らは, AMTによるラット肝ミクロゾーム(Ms)薬物酸化系の誘導機構の指標の1つとしてMs膜の脂質量をフェノバルビタール(PB)と比較検討した. 「方法」SD系雄性ラット(150~180g)にAMT(600mg/kg,p. o. )およびPB(80mg/kg,i. p. )をそれぞれ単回投与し, 投与後6, 12, 18および24時間目の肝Msを常法に従って調製した. Msの総リン脂質(PL)量はFolch法で, コレステロール(CL)量ならびに個々のPL量とその構成脂肪酸(FA)量はBligh and Dyer法で抽出後, GC-MSならびにBartlett法でそれぞれ定量した. 「結果・考察」PB群では総PLおよび個々のPLと構成FA見および総CL量の著明な経時的増加が認められた. これらの増加はPB投与後24時間日には回復した. 一方AMT群による総CL量では変化が認められなかった. しかし総PLおよび個々のPLと構成FAレベルはAMT投与群の12と18時間日で対照群に比べ有意に増加したが, これらの増加は24時間目目は回復した. Ms分画のCL/PL比ではPB群が対照群に比べ有意に増加したがAMT群では逆に低下した. またMs分画で著明な増加が認められたホスファチジルコリンの構成FAにおける飽和/不飽和比はPB群で著明に低下したが, しかしAMT群の12時間目では増加し, さらに18と24時間目では逆に低下した. 以上のことからPBの誘導作用がMsのCLとFA増加に関連しており, 一方AMTによるFAの経時的な増減および無変化CL量の点から, 両薬物の作用機序が異なることが示唆された.
ISSN:0015-5691