ビフェメラン投与による老化促進マウス(SAM)脳内受容体の変化
老化促進マウス(SAM-P/8)は, 正常老化マウス(SAM-R/1)と比べ生後約8月齢以後著しい学習, 記憶障害をきたすことが知られている. また, ビフェメランは, 脳血管障害後遺症治療薬として臨床応用されており, 動物実験においては, 電撃ショックおよびスコポラミンによる記憶障害の改善および脳虚血に伴うアセチルコリン(ACh)量の低下を改善することなどが報告されている. 我々は, SAM脳におけるムスカリン性アセチルコリン受容体(mACh-R), α_1 , α_2 アドレナリン受容体(α_1 -R, α_2 -R)の変化とビフェメラン投与の影響を検討した. 「方法」生後約9月齢の雄性...
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Veröffentlicht in: | 日本薬理学雑誌 1989, Vol.94 (5), p.345-345 |
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Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 老化促進マウス(SAM-P/8)は, 正常老化マウス(SAM-R/1)と比べ生後約8月齢以後著しい学習, 記憶障害をきたすことが知られている. また, ビフェメランは, 脳血管障害後遺症治療薬として臨床応用されており, 動物実験においては, 電撃ショックおよびスコポラミンによる記憶障害の改善および脳虚血に伴うアセチルコリン(ACh)量の低下を改善することなどが報告されている. 我々は, SAM脳におけるムスカリン性アセチルコリン受容体(mACh-R), α_1 , α_2 アドレナリン受容体(α_1 -R, α_2 -R)の変化とビフェメラン投与の影響を検討した. 「方法」生後約9月齢の雄性 SAM-P/8 および SAM-R/1 を用いた. 塩酸ビフェメランを1)0,10,25mg/kg(0.1 ml/10 g 体重)を腹腔内投与(i. p. )し2時間後に, また2)0,10 mg/kg/day を1日1回10日間 i. p. 投与し24時間後にそれぞれ断頭致死させ, 大脳皮質, 海馬を素早く摘出し, 膜画分を調製した. mACh-R, α_1 -R, α_2 -Rの結合実験にはそれぞれ「^^3 H」QNB, 「^^3 H」プラゾシン, および「^^3 H」ローウォルシンを用いた. 「結果・考察」9月齢SAM海馬における「^^3 H」プラゾシンおよび「^^3 H」ローウォルシン結合には, P/8 系と R/1 系で差は認められなかった. しかし P/8 系の「^^3 H」QNB結合は, R/1 系に比べK_D 値に変化はないが, Bmax値が有意に減少していた. また, P/8系へのビフェメラン1回投与により10 mg/kgでは「^^3 H」QNB結合に著変は認められなかったが, 25mg/kg投与によって有意に改善された. さらに, 10mg/kgの10日間連続投与によって海馬mACh-R数は R/1 系のレベルまで回復された. 以上より, 記憶・学習障害を引き起こしている P/8 系の海馬m ACh-R 数は, R/1 系より減少していることが示唆された. さらに, ビフェメラン投与は, 減少しているSAM-P/8 系の海馬 mACh-R数を改善することが示唆された. |
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ISSN: | 0015-5691 |