摘出イヌ腸間膜動脈及び静脈における薬物反応性の比較

同一部位より摘出した腸間膜動脈および静脈を用いて, 内皮依存性及び非依存性の反応を比較検討した. 実験には雑種成犬の腸間膜動・静脈ラセン状条片標本を用いた. (結果)1)Prostaglandin(PG)I_2 (methyl ester)の弛緩作用は動静脈間で差がなかった. 2)アラキドン酸(AA)による弛緩反応は静脈の方が動脈に比べ大であった. 動・静脈とも AA の弛緩作用は indomethacin(IM)の前処置によって強く抑制された. 3)Angiotensin(ANG)II 2×10^-8 M は, 静脈では一過性の弱い収縮に続き弛緩をひきおこした. 内膜除去によって反応は変化し...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1989, Vol.94 (3), p.254-254
Hauptverfasser: 山崎正昭, 吉田一秀, 岡村富夫, 戸田昇
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:同一部位より摘出した腸間膜動脈および静脈を用いて, 内皮依存性及び非依存性の反応を比較検討した. 実験には雑種成犬の腸間膜動・静脈ラセン状条片標本を用いた. (結果)1)Prostaglandin(PG)I_2 (methyl ester)の弛緩作用は動静脈間で差がなかった. 2)アラキドン酸(AA)による弛緩反応は静脈の方が動脈に比べ大であった. 動・静脈とも AA の弛緩作用は indomethacin(IM)の前処置によって強く抑制された. 3)Angiotensin(ANG)II 2×10^-8 M は, 静脈では一過性の弱い収縮に続き弛緩をひきおこした. 内膜除去によって反応は変化しなかったが, IM 処置により弛緩は消失し収縮は増大した. 一方, ANG II は動脈では強い収縮のみを示し, 同収縮は IM によって増強した. IM 処直下に PGI_2 の種々の濃度と ANG II を同時投与し対照と同一反応をひきおこすに要する PGI_2 量を算出した. 4)IM 処置下の Ca^2+ ionophore A23187 の弛緩作用は動・静脈において内臓除去によって消失した. (結論)1)PG12の作用は動静脈で差がないが, MからのP612の産生は静脈で多いようである. 2)A冊Hの平滑筋収縮作用は動脈に比べ静脈で著しく弱いため, 静脈では PGI_2 の遊離を介する弛緩反応が観察される. 3)ANG II による PGI_2 の遊離は動脈の方が多い. 4)Ca^2+ ionophore の弛緩には動・静脈ともに EDRF が関与するようである.
ISSN:0015-5691