高頻度刺激後のナロキソン誘発摘出モルモット回腸縦走筋収縮

摘出モルモット回腸縦走筋(MPLM)の高頻度刺激(HFS)後抑制はナロキソン(NLX)により拮抗され, ペプチダーゼ阻害薬によって増強されることを以前に報告した. 今回は, HFS 後抑制の高濃度ナロキソン拮抗時において, 高頻度刺激後 Base-line 収縮が認められたので, 本収縮の薬理学的性質について検討し, 内在性オピオイドと腸管収縮物質との相互関係について考察した. 「方法」MPLM 標本を Krebs 溶液中(37℃)で, 電界刺激(0.1Hz, 0.5 msec duration,supramaximal voltage)し, 30分間隔で HFS(10Hz, 0.5msec,...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1989, Vol.94 (3), p.253-253
Hauptverfasser: 尾崎昌宣, 宮本賀之, 山西徹治, 山本博之
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:摘出モルモット回腸縦走筋(MPLM)の高頻度刺激(HFS)後抑制はナロキソン(NLX)により拮抗され, ペプチダーゼ阻害薬によって増強されることを以前に報告した. 今回は, HFS 後抑制の高濃度ナロキソン拮抗時において, 高頻度刺激後 Base-line 収縮が認められたので, 本収縮の薬理学的性質について検討し, 内在性オピオイドと腸管収縮物質との相互関係について考察した. 「方法」MPLM 標本を Krebs 溶液中(37℃)で, 電界刺激(0.1Hz, 0.5 msec duration,supramaximal voltage)し, 30分間隔で HFS(10Hz, 0.5msec, 1min 間)を行ない, HFS 開始後13-15分後に Krebs 溶液で洗滌した. 各収縮は等尺性に記録し, resting tension は 500mg とした. HLX は HFS 開始の5分前, その他の各薬物は10分前に適用した. 「成績」NLX 非存在下では, HFS 後に Base-line 収縮は認められなかったが, HLX(5×10^-7 ~5×10^-5 M)存在下では濃度依存的な収縮が出現し, 洗滌によって消失した. また, 刺激頻度(5,10,20Hz)の増加に伴いこの収縮は増強された. この収縮はテトロドトキシン(5×10^-7 M)存在下では認められず, アトロピン(5×10^-6 )存在下で部分的に抑制された. メチセルギド(5×10^-5 M) 存在下では影響をうけなかったが, インドメタシン(5×10^-6 M)存在下では完全に, スパンタイド(10^-5 M)存在下では大部分抑制された. 「考察, 結論」HLX 存在下で HFS 後に発現する Base-line 収縮は, NLX の適用濃度に依存し, 洗滌により消失した. またこの収縮の大きさは, HFS の刺激頻度(5,10,20 Hz)に依存した. この収縮は, 神経性のものであり, 5-HT 受容体は関与せず, m-ACh 受容体が一部関与し, PGs および SP の関与が示唆された. これらの収縮物質と内因性オピオイドとの関係については, HFS による opioidergic neuron の興奮によって遊離される内因性オピオイドが, これらの収縮物質の遊離を抑制していた可能性が示唆された.
ISSN:0015-5691