脳虚血実験モデルとしてのマウス頸動脈結紮

「目的」両側総頸動脈(BCA)結紮がマウスに致死的な脳虚血を来すかどうかを調べた. 「方法」ddY 系マウス(7-8週令)を無麻酔下背位に固定し, 一側の動脈につき約3mmの間隔で2ケ所, BCA を計4ケ所で結紮し, 時には結紮区間で BCA を切断し, 固定から解放後, 結紮から呼吸停止までの時間を測定した. 10分以内死亡群と60分生存群につき, 断頭後凍結下に, 脳虚血の生化学的指標を測定した. 「結果」BCA 結紮後10分以内に死亡するマウスは50%またはそれ以下で, 残りの殆どが60分以上生存する. 10分以内死亡群では, 大脳のグルコース, ATP, アセチルコリン含量はいずれも...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1989, Vol.94 (3), p.252-252
Hauptverfasser: 六車恵子, 辻正樹, 柳田和則, 小井田雅夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「目的」両側総頸動脈(BCA)結紮がマウスに致死的な脳虚血を来すかどうかを調べた. 「方法」ddY 系マウス(7-8週令)を無麻酔下背位に固定し, 一側の動脈につき約3mmの間隔で2ケ所, BCA を計4ケ所で結紮し, 時には結紮区間で BCA を切断し, 固定から解放後, 結紮から呼吸停止までの時間を測定した. 10分以内死亡群と60分生存群につき, 断頭後凍結下に, 脳虚血の生化学的指標を測定した. 「結果」BCA 結紮後10分以内に死亡するマウスは50%またはそれ以下で, 残りの殆どが60分以上生存する. 10分以内死亡群では, 大脳のグルコース, ATP, アセチルコリン含量はいずれも有意に低下するが, 60分生存群では低下しない. 以上の結果は BCA を切断した実験でも変わらない. 結紮抵抗性マウスの出現率は一酸化炭素吸入法における薬物による酸欠抵抗性マウスの出現率より遥かに高い. なお, シャム手術群に死亡その他虚血を示す例はなかったが, 無処置群と比較して, シャム手術後10分に脳内コリン含量の有意な増加を認めた. 「結論」短時間の BCA 結紮はマウスの大半に脳虚血を起こさないことが判明した.
ISSN:0015-5691