組織切片法による腎毒性の評価

シスプラチンは強力な制癌作用をもつが, 腎毒性のためにその使用が制限される. 最近, 腎毒性の低い誘導体が開発されており, その一つに(グリコラト-O,O)ジアンミン白金(II)(254-S)がある. 今回切片法を用いて, シスプラチン及び 254-S について腎毒性の評価を試みた. ラットにシスプラチン(5mg/kg)254-S(10, 20mg/kg)を静脈内投与した. 4日目に採血後骨皮質から切片を調製し, 生理的塩溶液中にて37℃で好気的にインキュベートした. 有機弱酸の分泌機能をパラアミノ馬尿酸(PAH)の切片への取り込みとして, Na^+ -K^+ ポンプや ATP 産生能は切片細...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1989, Vol.94 (3), p.251-251
Hauptverfasser: 亀山悦子, 中川百代, 越田光, 中村益久, 岡崎直美, 玄番宗一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:シスプラチンは強力な制癌作用をもつが, 腎毒性のためにその使用が制限される. 最近, 腎毒性の低い誘導体が開発されており, その一つに(グリコラト-O,O)ジアンミン白金(II)(254-S)がある. 今回切片法を用いて, シスプラチン及び 254-S について腎毒性の評価を試みた. ラットにシスプラチン(5mg/kg)254-S(10, 20mg/kg)を静脈内投与した. 4日目に採血後骨皮質から切片を調製し, 生理的塩溶液中にて37℃で好気的にインキュベートした. 有機弱酸の分泌機能をパラアミノ馬尿酸(PAH)の切片への取り込みとして, Na^+ -K^+ ポンプや ATP 産生能は切片細胞内の K^+ や ATP 濃度変化として, 糖新生能は, 切片からのグルコース遊離として測定した. シスプラチン, 高用量の 254-S 投与において, BUN は顕著に上昇し, PAH 取り込み能と K^+ 濃度は低下した. ATP 濃度は影響されなかったが, 糖新生能は増大した. 低用量の 254-S 投与は, BUN に影響することなく切片の PAH 取り込み能及び K^+ 濃度を低下させた. シスプラチンと 254-S は, PAH 輸送系や K^+ 濃度に鋭敏に影響した. 賢毒性評価の際, 腎切片法の併用で薬物による骨細胞機能への影響を知ることができる.
ISSN:0015-5691