選択的セロトニン取り込み阻害作用を有する新しい抗うつ薬 Paroxetine の行動薬理学的研究

新しい抗うつ薬である paroxetine の行動薬理学的特性をマウスおよびラットを用いて検討し,imipramine および amitriptyline のそれと比較した.1)imipramine および amitriptyline は自発運動量を減少させたが,paroxetine は著明な作用を示さなかった.2)paroxetine は imipramine,amitriptyline 同様 methamphetamine による自発運動量の増加を抑制した.3)paroxetine は中脳縫線核破壊ラットの muricide を著明に抑制し,その作用は imipramine および ami...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1989, Vol.94(3), pp.189-206
Hauptverfasser: 山本, 経之, 柴田, 重信, 島添, 隆雄, 岩崎, 克典, 大野, 益男, 皆本, 義基, 古谷, 嘉章, 宮本, 千葉, 渡辺, 繁紀, 植木, 昭和, 萬野, 賢児, 杉原, 邦夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:新しい抗うつ薬である paroxetine の行動薬理学的特性をマウスおよびラットを用いて検討し,imipramine および amitriptyline のそれと比較した.1)imipramine および amitriptyline は自発運動量を減少させたが,paroxetine は著明な作用を示さなかった.2)paroxetine は imipramine,amitriptyline 同様 methamphetamine による自発運動量の増加を抑制した.3)paroxetine は中脳縫線核破壊ラットの muricide を著明に抑制し,その作用は imipramine および amitriptyline に比べて強かった.paroxetine は嗅球摘出ラットの muricide を抑制した.4)強制水泳によるラットの無動状態は imipramine および amitriptyline により著明に軽減されたが,paroxetine のこの作用は非常に弱かった.5)paroxetine は imipramine および amitriptyline 同様 methamphetamine あるいは L-DOPAによる常同行動を増強し,oxotremorine 誘発の tremor を amitriptyline 程度に抑制した.6)paroxetine は reserpine による体温下降,tetrabenazine 誘発の眼瞼下垂に対して拮抗し,ether 麻酔を増強したが,これらの作用はいずれも imipramine や amitriptyline と異なり弱いものであった.7)paroxetine の鎮痛作用は imipramine および amitriptyline よりも強力であった.8)paroxetine は haloperidol,Δ9-tetrahydrocannabinol 誘発のカタレプシーおよび条件回避反応にはなんら作用を示さず,最大電撃ならびに pentetrazo1 けいれんに対して imipramine,amitriptyline でみられるような抑制作用を示さず,また協調運動障害ならびに筋弛緩作用も誘発しなかった.以上,paroxetine は imipramine や amitriptyline と同様に muricide の抑制作用を示したが,強制水泳時の無動状態の軽減作用は弱く,従来の抗うつ薬の作用プロフィールとは異なるようである.
ISSN:0015-5691
1347-8397
DOI:10.1254/fpj.94.189