副腎皮質ステロイドの肺クリアランス系における作用

ステロイドは, 閉塞性の呼吸器疾患に特効薬として用いられるが肺クリアランス機構との関係はよく分かっていない. 今回, 我々は, げっし類, 鳥類の主な糖質コルチコイドであるコルチコステロン及びその合成阻害薬であるメチラポンを用いて肺サーファクタント(PS)分泌及び粘液繊毛輸送系(MCT系)に対する作用について検討した. (方法)ddY系雄性マウス及びハトを用いた. 肺胞洗浄(BAL)は生理食塩水を用いて行った. BAL液中のPSの主成分であるDSPCはMasonらの方法で分離, PLキットで定量した. ハトの粘液繊毛輸送測定法は, 既報に準じた. (結果)1)コルチコステロンは, 高用量(50...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1989, Vol.93 (1), p.76-76
Hauptverfasser: 古川浩司, 山本聡子, 福田滋, 甲斐広文, 宮田健
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:ステロイドは, 閉塞性の呼吸器疾患に特効薬として用いられるが肺クリアランス機構との関係はよく分かっていない. 今回, 我々は, げっし類, 鳥類の主な糖質コルチコイドであるコルチコステロン及びその合成阻害薬であるメチラポンを用いて肺サーファクタント(PS)分泌及び粘液繊毛輸送系(MCT系)に対する作用について検討した. (方法)ddY系雄性マウス及びハトを用いた. 肺胞洗浄(BAL)は生理食塩水を用いて行った. BAL液中のPSの主成分であるDSPCはMasonらの方法で分離, PLキットで定量した. ハトの粘液繊毛輸送測定法は, 既報に準じた. (結果)1)コルチコステロンは, 高用量(50mg/kg・i.m.)でMCTを軽度促進したが, PSには影響はなかった. 2)メチラポン(150mg/kg,i.p.)は, PS分泌及びMCTをともに明らかに抑制した. 3)メチラポンによる抑制作用は, コルチコステロン(1.0mg/kg,i.m.)の同時投与により消失した. (結論)ステロイドが肺クリアランス機構の恒常性維持に関与している可能性が示され, ステロイドの閉塞性肺疾患に対する有用性の一部を説明しうると思われた.
ISSN:0015-5691