ラット脳切片のエネルギー代謝障害に対するWEB1881FUの作用
神経細胞がその機能と形態を維持して行くためにATPの存在は不可欠であり, そのエネルギー基質となるd-glucose及び酸素の不足は重篤な細胞障害を起こす. 最近, 老年期痴呆やその治療薬についての関心が高まり, 脳のエネルギー代謝障害と, これらの薬物の作用につき盛んに研究が行われている. 我々は熊倉らの方法により, ラットの線条体切片からのドパミン(DA)遊離とその動態を測定し, これを神経活動の指標として薬物の効果を評価する方法を確立せんと試みた. 45μmの線条体切片を内容積250μlのchamber内に保持しkrebs Ringer溶液(pH7.4)で灌流した. (1)灌流液からd-...
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Veröffentlicht in: | 日本薬理学雑誌 1989, Vol.93 (1), p.68-68 |
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Hauptverfasser: | , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 神経細胞がその機能と形態を維持して行くためにATPの存在は不可欠であり, そのエネルギー基質となるd-glucose及び酸素の不足は重篤な細胞障害を起こす. 最近, 老年期痴呆やその治療薬についての関心が高まり, 脳のエネルギー代謝障害と, これらの薬物の作用につき盛んに研究が行われている. 我々は熊倉らの方法により, ラットの線条体切片からのドパミン(DA)遊離とその動態を測定し, これを神経活動の指標として薬物の効果を評価する方法を確立せんと試みた. 45μmの線条体切片を内容積250μlのchamber内に保持しkrebs Ringer溶液(pH7.4)で灌流した. (1)灌流液からd-glucoseを除去する, (2)灌流液中にNaCH 0.1mMを加える, (3)oligomycin 5×10^-8 Mを加えるという3種の処置によりエネルギー代謝障害を惹起させ, 各々に対して新しい脳代謝賦活薬WEB1881FUの作用を検討し, idebenoneのそれと比較した. また実験終了後, 組織学的検索もあわせて行った. (1), (2), (3)ともDA遊離は一過性に増加した後, 著明に減少するが, WRBはこの減少をいずれの場合にも防止した. しかしidebenoneは(1)ではWEB同様の作用を示したが, (2), (3)の場合には作用がみられなかった. また組織学的検索からも, DA遊離の増減が神経細胞の形態変化と高い相関関係にあることがわかった. 以上の結果より, この方法は脳エネルギー代謝障害のin vitro実験モデルとして脳代謝賦活薬の作用評価に有用であると考えられる. |
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ISSN: | 0015-5691 |