海馬錐体細胞に対するphencyclidineの作用

ほ乳類中枢神経系の神経伝達物質の一つとしてアミノ酸が想定されている. このアミノ酸の受容器には3つのサブタイプが考えられ, その1つがN-メチール-DL-アスパラギン酸(NMA)型である. この受容器の活性によって開放され, しかもカルシウムを透過させるチャンネルのアンタゴニストとしてMK-801とともにphencyclidine(PCP)が挙げられる. 今回はラット海馬薄切片を用いて電気泳動的に与えられたNMAの応答に対する作用, またNMAに関与すると考えられているLong-term potentiation(LTP), 低酸素下における細胞の電気的活性の低下に対する作用について検討した....

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1989, Vol.93 (1), p.66-66
Hauptverfasser: 堀信顕, 篠田芳樹, 勝田信夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:ほ乳類中枢神経系の神経伝達物質の一つとしてアミノ酸が想定されている. このアミノ酸の受容器には3つのサブタイプが考えられ, その1つがN-メチール-DL-アスパラギン酸(NMA)型である. この受容器の活性によって開放され, しかもカルシウムを透過させるチャンネルのアンタゴニストとしてMK-801とともにphencyclidine(PCP)が挙げられる. 今回はラット海馬薄切片を用いて電気泳動的に与えられたNMAの応答に対する作用, またNMAに関与すると考えられているLong-term potentiation(LTP), 低酸素下における細胞の電気的活性の低下に対する作用について検討した. PCP(10^-5 ~5×10^-5 )はCA_3 刺激によるCA, 細胞内応答のうち活動電位には作用しないが, 膜電位を多少脱分極させた. NMA型受容器のアンタゴニストであるAPVそれにPCPはともに電気流動的に与えられたNMAの応答を抑制した. 既に形成されたLTPにはNMA, PCPとも影響を与えなかったが, テタヌス前(100Hz, 1秒)5分間の灌流によってLTPの形成は抑制された. また低酸素下(15%O_2 )において抑制される電場電位をPCP, APVは保護する傾向が見られた. 作用経過からPCPはcAMPの関与も考えられる.
ISSN:0015-5691