新しい抗不整脈薬OPC-88117の電気薬理学的作用

新しい抗不整脈薬 OPC-88117(8-methyl-3-(4-methyl-1-piperazinyl)-2(IH)-quinolinone hydro-chloride)の心筋細胞に対する電気薬理学的作用をモルモット単離心室筋細胞を用い, パッチ電極法による膜電位固定を行なって解析した. 正常タイロード液中では高濃度(0.1mM)でのみ保持電流と内向きカルシウム電流の減少が認められた. カルシウム電流をコノバルトイオン(0.9mM)によって抑制した状態では, OPC-88117(10μM)は, あらかじめisoprotereno1(10 nM)で増強された時間依存性外向き電流を著明に抑制...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1988, Vol.92 (6), p.421-421
Hauptverfasser: 飯島俊彦, 今川純一, 佐藤義憲, 平則夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:新しい抗不整脈薬 OPC-88117(8-methyl-3-(4-methyl-1-piperazinyl)-2(IH)-quinolinone hydro-chloride)の心筋細胞に対する電気薬理学的作用をモルモット単離心室筋細胞を用い, パッチ電極法による膜電位固定を行なって解析した. 正常タイロード液中では高濃度(0.1mM)でのみ保持電流と内向きカルシウム電流の減少が認められた. カルシウム電流をコノバルトイオン(0.9mM)によって抑制した状態では, OPC-88117(10μM)は, あらかじめisoprotereno1(10 nM)で増強された時間依存性外向き電流を著明に抑制した. また, 細胞内外のカリウムイオンをセシウムイオンに置換して外向きカリウム電流を抑制した状態でもOPC-88117(10μM)は, あらかじめisoproterenol(10 nM)で増強されたカルシウム電流を著明に抑制した. 以上の結果から, OPC-88117は膜電流に直接作用しない用量でisoproterenolによる時間依存性外向き電流とカルシウム電流の増加を抑制することが明らかになった. このことはこの薬物がベータ受容体以降の情報伝達部位でベータ受容体刺激効果を抑制することによって不整脈作用を現わすことを示唆すると考えられる.
ISSN:0015-5691