加齢と生体反応

ストレスに対する防御反応の一つとして, 血糖の上昇が知られている. 今回, ラットを用い加齢に伴う水浸ストレス時の血糖値の変化について検討した. ストレス負荷開始より1, 2, 4時間後にA群（2～3月齢）B群（9～11月齢）, C群（17～19月齢）のいずれの群においても有意な血糖上昇がみられ, その程度は加齢とともに増大した. また・4時間後には胃潰瘍形成も認められた. ストレス負荷10分後の血糖上昇は各群とも同程度であり, 血漿Adrは10分後および30分後にすでに著しく上昇したが, 各群の間に差はみられなかった. この時, 血糖は著しく上昇しているにもかかわらず, 各群とも血漿インスリン（I）の上昇は全くみられなかった. 以上より, 水浸ストレス負荷により, 副腎からAdrが分泌され, 糖新生やIの分泌抑制を介して血糖上昇をきたすが, その機構には加齢による変化はみられないものと思われる. また, ストレス負荷1時間以後の血糖上昇は加齢とともに増大したが, これは糖の産生能の亢進によるものではなく利用能の低下によるものであることが示唆された.