膀胱に対するCernitin pollen extract(CN-009)の作用
花粉エキス製剤 Cernitin pollen extract(CN-009)は, 臨床的に前立腺疾患治療薬として用いられ, 特に前立腺肥大症での長期使用例では排尿の改善が見られている. 今回, 生体位膀胱内圧実験を用い排尿作用の裏付けを試みるとともに機序についても検討した. 「方法」11~23適齢のWister系成熟雌ラットを用い, 一部の実験では加齢の影響を検討するため2年間飼育した老齢ラットを用いた. 麻酔下にラットを固定し, 経尿道的にカテーテルを膀胱に挿入して膀胱内圧を測定した. 膀胱内容量は原則として0.2mlとし, 薬物は左外腸骨静脈にカニューレを挿入して負荷した. 「結果」1)...
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Veröffentlicht in: | 日本薬理学雑誌 1987, Vol.90 (6), p.348-348 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 花粉エキス製剤 Cernitin pollen extract(CN-009)は, 臨床的に前立腺疾患治療薬として用いられ, 特に前立腺肥大症での長期使用例では排尿の改善が見られている. 今回, 生体位膀胱内圧実験を用い排尿作用の裏付けを試みるとともに機序についても検討した. 「方法」11~23適齢のWister系成熟雌ラットを用い, 一部の実験では加齢の影響を検討するため2年間飼育した老齢ラットを用いた. 麻酔下にラットを固定し, 経尿道的にカテーテルを膀胱に挿入して膀胱内圧を測定した. 膀胱内容量は原則として0.2mlとし, 薬物は左外腸骨静脈にカニューレを挿入して負荷した. 「結果」1)CN-009(2~16mg/kg)は膀胱内圧(IVP)を用量依存的に上昇させた. ACh, 5-HT,ATPおよび1,1-dimethyl-4-phenylpiperaziniumも用量依存的にIVPを上昇させた. PGF_2α はIVP を持続的に上昇させ, histamineは変化なかった. Adrenaline(Adr)は低用量でIVPを低下, 高用量で上昇させ, isoproterenol(Iso)は用量依存的にIVPを低下させた. 2)CN-009のIVP上昇は, atropineによって完全にそしてphentolamine,guanethidine,diphenhydramine,cyproheptadineおよびindomethacinにより部分的に抑制された. 3)薬物負荷前のIVPは各種薬物によるIVPの上昇または下降と負の相関を示した. 4)CN-009の22日間投与後に各種薬物の反応性を検討したところ, ACh,AdrおよびPGF_2α の反応には変化なかったが, Isoおよび5-HTの反応性が有意に増強された. 5)老齢ラットの薬物の反応性を成熟ラットと比較するとAChの反応性が低下していたが, Adr,Iso,PGF_2α およびCN-009はほとんど変化しなかった. 「結論」CN-009の排尿促進作用機序としてIVPの上昇が考えられた. これは主としてcholinergic actionとして表現されたものであるが, さらに α-adrenergic receptorを介して惹起される現象もあるものと考えられる. また, CN-009の作用はAChと異なり, 老齢ラットにおいても成熟ラットと同程度の反応を示した事は臨床上有意義である. |
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ISSN: | 0015-5691 |