膀胱に対するCernitin pollen exact（CN-009）の作用

Cernitin pollen extract（CN-009）は8種の花粉より抽出したもので, 臨床的に前立腺炎, 前立腺肥大に伴う排尿障害の治療に用いられている. 今回CN-009の摘出膀胱平滑筋に対する作用を検討したので報告する. 「方法」雌雄雑種ネコでは膀胱排尿筋, 膀胱三角部, 尿道を, Hartley系雄モルモットおよびWistar系雌ラットでは膀胱排尿筋をそれぞれ条片とした. 各標本は30mlのTyrode液中に0.5gの張力を負荷して懸垂し, その変化を等張性に記録した. なおTyrode液は37℃に加温し, 混合ガスを通気した. 「結果」ネコ膀胱に対して, CH-009は排尿筋, 三角部では10^-4 g/mlより, 尿道では3×10^-4 g/ml より収縮した. また各部位の種々の収縮薬の反応性は排尿筋ではACh, 5-HTが, 三角部ではhistamine（Hist）, AChが, 尿道ではHist,noradrenalineがそれぞれ優位であった. モルモット膀胱に対してはCN-009は10^-4 g／mlより収縮した. CN-009による収縮はatropine（Atr）3×10^－8 g／mlおよびdiphenhydramine（Dip）3×10^-8 g／mlにより抑制され, 両者の併用では相乗的に抑制された. 一方, cimetidine（Cime）3×10^－5 g/ml では増大した. Phentolamine（Phen）10^-6 g／ml,Propranolol（Prop）10^-6 g／ml,indometthacin 3×10^-7 g/mlでは変化なかった. ラット膀胱に対しては, CN-009は10^-4 g/mlより収着した. CN-009による収縮はAtr 3×10^-8 g／mlにより大部分が抑制された. Dip 3×10^-8 g/ml,Cime 3×10^－5 g/ml,Phen 10^-6 g／ml,Prop 10^－6 g／mlでは変化なかった. 「結論」CN-009は抽出した膀胱平滑筋の収縮を示し排尿に対して促進的に作用することが示唆された. また, この膀胱収縮作用のメカニズムとしてコリン様およびヒスタミンH_1 様作用が示唆された.